新春インタビュー 山田亮太郎南関東支社長(執行役員)

2024.01.19

 昨年4月に就任し、9カ月を経た山田亮太郎南関東支社長(執行役員)は、お客さまに選ばれ続ける郵便局になれるよう、支社のスローガンに「一人ひとりが『プラスワン』」として、「殻を破って前進」の思いを込めている。ゆうちょ銀行の南関東エリア本部長も歴任した山田支社長は、「お客さまと〝雑談〟しながらニーズを聞き出し、郵便局の豊富な商品・サービスから適切なものをお薦めいただきたい。社員が頑張れるか否かは、局長の皆さんをはじめ管理者のマネジメント力も勝負」と局長力にも期待を寄せる。

一人ひとりの〝プラスワン〟で前進

 ――改めて、ご感想やご抱負を。
 山田支社長 「令和6年能登半島地震」のお見舞いを申し上げます。南関東支社のスローガンは「お客さまの期待のその先へ 一人ひとりが『プラスワン』考動しよう!南関東」。〝人〟こそ会社の宝だ。
 社員の皆さんが郵便局の付加価値を生み出してくれている。一人ひとりが少しずつ力をつけていくことで、全体の力を伸ばしたい思いを込めた。
 社員は皆、真面目で懸命に取り組んでいるが、殻を破ってもう一歩前に出て行ってもらいたい。皆さんが伸び伸びと気持ちよく働ける職場環境をつくりたい。
 私の前職は、ゆうちょ銀行。以前に南関東エリア本部長の経験もさせていただいたが、もう一度地元で働くチャンスをいただいた。グループ間交流人事の趣旨を踏まえ、日本郵便とゆうちょ銀行、かんぽ生命との連携強化のお役に立ちたい。
 今春入社予定の内定者研修をグループ3社合同で行った。入社前から同期としての一体感を醸成し、連絡を取り合える関係を培ってもらうのが狙いだ。

雑談でニーズを、選ばれる郵便局に

 ――金融営業は神奈川県も山梨県も頑張っていらっしゃいます。
 山田支社長 横浜や川崎等の都市部から山間の過疎地もあるのが南関東。いろいろな営業の形があるべきと思う。郵便局に来て改めて感じるのは業務範囲の幅広さだ。三事業のみならず、がん保険や物販等、管理すべきことが多く、責任者である統括局長や部会長、局長は実に大変だ。
 支社としては優先順位を付けてお願いしていく。引き出しが多いことが郵便局の強みなのだから、お客さまと〝雑談〟しながらニーズを聞き出し、豊富な商品・サービスから適切なものをお薦めいただきたい。

 ――コンサルタントの方が行きづらい過疎地の2名局は局周活動も困難と思いますが、窓口営業の工夫は。繁忙局の人材補充対策等はどうされていますか。
 山田支社長 コンサルタントがカバーしきれない地域もあるが、エリマネ局社員が随時お客さまを訪問するのも難しい。部会内で応援して局周にも出掛けられる体制づくりが重要になってくる。
 また、お客さまの都合の良い時間に来局いただく予約活動が大切で、勤務時間から少し外れた時間や土日でも工夫して対応していかなければ、お客さまに寄り添う形にはできないと思っている。
 要員は、取り扱い件数等に応じて配置しているが、来局者も減少しているため、会社の経営状況や退職社員数も見ながら採用計画を立てている。都市部の繁忙局でも、部会内の応援体制を前提として、適正な配置になるよう考えていきたい。

 ――先般は神奈川県とも包括連携協定を締結されましたが、自治体や企業、警察署等々、連携や共創の動きを教えてください。
 山田支社長 神奈川県と包括連携協定を昨年9月に締結し、これで管内全ての自治体と協定が結べた。既に、県の障がい者支援施設に入居されている方々に秦野局の落ち葉拾いや花壇の土作りを手伝っていただきながら、人と接する喜びを創出する取り組みが始まったが、今後も自治体と連携の具体策を増やしていきたい。
 一方、横浜市の金沢警察署と地元局等が安全協定を締結したほか、他地域でも警察と連携し、安全・安心の住みよい地域づくりを目指している。

 ――「ハニービープロジェクト」のビジネス展開への見通しはいかがですか。その他、地域創生的なビジネスの動きはありますか。
 山田支社長 青葉台局の屋上で局長の皆さんが養蜂を行うとともに、緑化活動プロジェクト等を学校や地域社会を巻き込みながら進めている。2シーズンを経て、小学生や学生の養蜂見学や、蜜が採れる花の植栽など、生き生きとしたまちぐるみのプロジェクトだ。
 地元で採れた蜂蜜は「質が高い」と評判が良く、お菓子や料理等に使われ、地域おこしにもつながる。自然相手のため事業化には至っていないが、将来的な課題。試行的に販売にもチャレンジし、広げていきたい。
 一方、横浜市のコロナワクチン接種予約のサポート事務も非常に好評であった。「予約案内のハガキが届いたが、ウェブでの申し込みのやり方が分からない」「電話がつながらない」等のお悩みに対し、郵便局が予約サポートするもので、1回郵便局を通して予約された方はリピーターになって、次も予約いただく方が多い。
 また、山梨県では、障がい者の方が作られたお菓子を甲府駅前局に陳列して無人販売しているが、こちらも好評。農福連携の先駆け的な取り組みといえよう。

 ――人材育成のお考えは。郵便局の局長や社員の方々への励ましの言葉もお願いします。
 山田支社長 郵便局は窓口事業も郵便・物流事業も人を介してサービスを提供していることから、人材こそ会社の宝だといえる。
 一人ひとりが力を高めていけるよう従来から研修に力を入れているが、厳しい時代に向かう中、社員が頑張れるか否かは局長の皆さんをはじめ、管理者のマネジメント力も勝負。
 また、多様な働き方も認められる時代になった。子育てや介護、病気等さまざまハードルがある中でも、社員がその時々の条件に応じて力を発揮できる人事運用も進めていく。
 地域社会の中であらゆるサービスをユニバーサルに提供させていただく郵便局の使命、立ち位置は今後も変わらない。ただし、社会変化に応じた「新たなチャレンジ」は必要だ。
 先人の努力により培われた日本郵政グループの人材や体力、お客さまからの〝信頼〟をしっかりと生かしながら、お客さまに選ばれ続けられるよう一緒に頑張っていきましょう。