インタビュー ㈱エスクロー・エージェント・ジャパン(EAJ)信託(上) 今中弘明社長、小林泰宏部長
「郵便局の終活相談サービス」が東京都江東区内41局で始まってから6年。その後、北海道や首都圏の開始を経て、今年2月からいよいよ「郵便局の終活日和」として全国展開が始まった。終活関連ビジネスで日本郵便と2019(令和元)年に提携している㈱エスクロー・エージェントジャパン(EAJ)信託の今中弘明社長は「〝ご高齢のおひとりさま〟向け終活サービスで地銀が販売実績を上げている」と話す。同社コンサルティング事業部の小林泰宏部長は「ご高齢かつ単身のお客さまの駆け付け、身元保証、死後事務等の手続き対応をパッケージ化したサービスが求められている」と指摘する。
終活☆〝おひとりさま〟ニーズに眼を
――EAJ信託は、どのような企業でいらっしゃいますか。
今中社長 EAJグループとして17年、わが社は10周年。エスクロー業(不動産取引の安全性を高めるサービス)で大手不動産3社さまに使っていただいているが、町の不動産の方にも使っていただこうと手を打っている。
不動産登記を担当する司法書士ネットワークを活用し、「相続」の新ビジネス展開を先駆けてきたが、相続プレーヤーが急増したため、「終活」にシフトした。終活はお金持ちだけではなく、誰しもが避けて通れない人生の総決算だ。
――終活サービスのニーズを教えてください。
今中社長 国内の「おひとりさま」は2023(令和5)年は約700万人だが、2050年には1000万人を超え、いわば10人に1人がおひとりさまになる。
ご高齢のおひとりさまが増え、認知症になった時にどうするか、葬儀を誰に執り行ってもらえるのか、死亡通知人がいない、そもそも死亡の発見者がいないなど、さまざまな問題が生じている。
小林部長 おひとりさま問題の解決は、一刻の猶予も許されない社会的課題といえる。
現在展開中の「郵便局のみまもりサービス」のような定期的な生存確認サービスから、さらに一段ステージを上げ、お客さまの体調急変をいち早く察知してご自宅に駆け付けて救助し、病院への搬送後は、おひとりさまであっても手術・入院時の身元保証のもと、迅速に医療サービスを受けられる仕組みに加え、ご逝去の際の葬儀・納骨・死後事務等のサービスを複数の企業が連携して行うことが求められる。
当社ではこういったおひとりさま向けの「終活パッケージサービス」を地域の専門業者と協力して広く展開しており、これまでに多くの契約実績がある。
今中社長 完全に孤立したおひとりさまをどう助けられるかだ。我々のサービスは地銀中心に販売実績を上げているが、メガバンクとも協議中。地域から信頼のある郵便局が、終活の一環として販売されることは社会的意義が大きいし、収益的にもそれなりに上がると思う。地域によって偏りがあるかもしれないが、ニーズは高い。