インタビュー 全国郵便局長会 沼袋浩理事(北海道地方会会長/芽室)
全国郵便局長会(末武晃会長)は、郵政事業と地域社会の発展に寄与するため、地域に密着して日々活動している。沼袋浩全特理事(北海道地方会会長/芽室)に郵政事業や地域への強い思いを伺った。
〝地域を守る〟局長会の神髄を札幌で
――広大な北海道の課題とは。郵便局はどのような取り組みをされていらっしゃいますか。
沼袋理事 東京都の約38倍もの面積のある北海道の各地域をエリマネ局1144局、単独マネ局62局、簡易局241局、計1447局で支えている。道内人口は今年1月1日時点で約509万人だが、2050(令和32)年には約382万人まで減少が予測される。
局長会は「郵政事業及び地域社会の発展に寄与する」ことを目的として、一人一人が地域に寄り添い、住民の方々のために昼夜問わず活動している。
人口減少は郵便局にとっても非常に厳しい状況である。
三事業のサービスの提供だけではなく、新たに収益を生む事業の早急な展開が必須だ。北海道では2021(令和3)年5月、東京に続き、終活紹介サービスを開始した。
23年10月からは北海道銀行の支店閉鎖に伴い、同行ATMを郵便局に設置し、手続事務の受付・取次も開始した。24年9月からは漁業協同組合の記帳機を郵便局に設置し、組合員の方々の利便性向上を図った。このような地域の金融機関との協業は今後、全国への波及が想定される。
――北海道の郵便局は全国に先駆けて全市町村と包括連携を締結されました。
沼袋理事 北海道は全国に先駆けて2018(平成30)年10月までに、全179市町村と包括連携協定を締結した。次の段階として包括事務受託を進め、すでに白老町、積丹町、由仁町、八雲町の4町から受託している。
地方公共団体も人口減少で行政サービス維持が難しくなっている状況。郵便局の「地域を守りたい」という思いと合致する。マイナンバーカードの郵便局での交付・申請等関連事務は、住民の方々の利便性を高められる。さらに地方公共団体に働きかけていきたい。
――郵便車両ライドシェアについて町長は何とおっしゃっていましたか。
沼袋理事 今年10~11月、郵便局の集配車両の助手席に人を乗せて運ぶ貨客混載の国土交通省の実証実験が、私の地元、十勝の上士幌町で行われた。住民の方がインターネットを通じて申し込み、周辺で郵便物等の集配作業を行う車両と住民の方の希望時間が合えば利用できる。
上士幌町の竹中貢町長は「地方の公共交通は、鉄道やバス路線の廃止等により危機的な状況にあり、全国にある郵便局の集配車両を活用することは、極めて合理的で、実証実験の先にある全国展開を期待している」との考えをお持ちだ。
十勝地域は人口減少、過疎化、少子高齢化が急速に進展し、タクシー会社は撤退し、公共バスも日に数本しかない。運転免許証を返納したご高齢の方々は移動手段がなく、「大変助かり、続けていただきたい」との声も多い。このライドシェアは何としても実現いただきたい。
――来年の全国郵便局長会通常総会が札幌で開催される意気込みを。
沼袋理事 来年5月25日、札幌市「大和ハウスプレミストドーム」で全特通常総会が開催される。札幌での開催は13年ぶり。北海道地方会は、全国の会員の方々を円滑に受け入れできるよう、札幌中央・札幌東部・北後志・石狩・南空知の5地区会から約300人の準備委員会を設置し、準備を進めている。
多くの会員が一堂に会し、厳かで粛々とした総会を経験することは、局長会の団結を目で見て実感できる貴重な機会である。道内20地区会の会員、夫人会、OBの皆さんの力を結集し、総会を成功裏に開催したい。皆さまを札幌でお待ちしている。