新春インタビュー 全国郵便局長会 髙島貞邦理事

2023.01.24

 地域により、さまざまニーズが異なる中で、郵便局ネットワークはどうすればもっと役に立てるのだろうか。全国郵便局長会(末武晃会長/萩越ケ浜)の髙島貞邦理事(東北地方会会長/大玉)に伺った。

「何でも相談所」で価値高める

 ――東日本大震災の被災局では、喜びの再開が相次いでいます。
 髙島理事 震災で休止した159局のうち120局が再開した。震災復興については道半ばだが、郵便局は地域コミュニティーになくてはならない存在として、自治体や企業、地域住民の方々から大きな期待が寄せられている。
 昨年10月に開局した福島県楢葉局は、開局当日に楢葉町と包括連携協定を締結した。今後は、地元産のユズやサツマイモ等の販路拡大を含め、経済の活性化や復興の後押しができればと思う。

 ――東北6県の自治体や企業と郵便局の結び付きは強いですね。
 髙島理事 全227市町村のうち、2市町(青森県むつ市と福島県双葉町)以外は全て包括連携協定を締結した。マイナンバーカードの申請支援や包括事務の受託についても着実に進めている。
 地域の産品や生産農家を守るためにも、JAとの連携強化に本腰を入れ、農家の皆さんと連携した新規事業化も進めたい。
 先日、「あんぽ柿」の出発式でJAふくしま未来の組合長さんと話したが、農家は後継者不足で大変だと伺った。東北支社(小野木喜惠子支社長)では、繁忙期に社員たちがサクランボ農家などにボランティアで応援に行き、大変喜ばれているようだ。局長会としても農家のお手伝いや、地域の雪かきなど、さらに協力していきたい。

 ――全特で担当されている専門委員会は。
 髙島理事 「総合政策」「事業改革・営業推進」「置局・局舎」を担当している。その中で、置局・局舎は特に注力したい分野であり、郵便局は、お客さまサービスの拠点として、その存在は地域社会を維持するためにも極めて重要だ。
 置局・局舎において、どこに郵便局を配置するのかを考える店舗戦略はとても重要で、例えば商業施設内にテナントとして入れば人は集まるが、コストが一般の郵便局に比べてかかる上、土日営業を求められることも多く、人のやりくりが難しい面がある。どのエリアにどのような店舗を出すべきか議論を深めていきたい。
 今、過疎地等では自治体もJAも支所をどんどん撤退させている。そんな過疎地に郵便局を残す必要があるのかという無責任な報道も一部にはあるが、郵便局までなくなってしまったら、その地域の住民の生活はどうなるのか。全国津々浦々に配置されている郵便局はユニバーサルサービスを担う拠点として、日本のインフラを支える存在だ。

 ――郵便局の将来像についてのお考えは。
 髙島理事 郵便局の役割は、地域社会をトータルでサポートすること。資産形成から住宅・教育ローン、相続など困ったことがあれば、局長や社員が親身になって相談に乗ってくれる「何でも相談所」になることが理想だと思う。
 郵便局でできないことは企業や司法書士などの士業の方と提携して対応すればよい。郵便局をプラットフォームとしたトータルサポートが実現できれば、郵便局は唯一無二の存在となり、その価値が一層高まるだろう。

 ――後継の人材育成で思われることは。
 髙島理事 若い局長たちには〝景色を見てほしい〟と話している。局長になると、見える景色が変わる。部会長や役員になると、さらに変わる。意識を変えて自覚を持ち、バランス感覚を持って進むべき道を進むことが重要だ。私は郵便局長という仕事に誇りを持っている。この誇りと、諸先輩から受け継いできた〝局長魂〟を後進につなげていきたい。