日本郵便 2023(令和5)年3月期決算

2023.06.15

 日本郵便の2023(令和5)年3月期決算は減収減益。営業収益は為替影響による727億円増を含んでも前期比2053億円(同5.6%減)の減収となった。営業利益は郵便局窓口事業が人件費減により増益になったものの、郵便・物流事業と国際物流事業の減益で837億円(同43.5%減)。経常利益も794億円(同44・6%減)となった。(写真は日本郵政の増田社長㊨と浅井常務執行役)

郵便 局窓口事業は人件費減で利益増

 純利益は豪トール社のエクスプレス事業(速達便や貨物輸送サービス)売却による特別損失の減少があったが、621億円(同33.4%減)とデジタル化加速の影響もあって総体として厳しい決算となった。
 郵便・物流事業は減収減益。主力のゆうパック(ゆうパケット含む)の取扱量は同0.8%減(ゆうパケットは同1.4%増)だが、前年度に比べ、減少幅は改善した。一方、ゆうメール(種別は荷物)は定期刊行物等の減少や、ゆうパケットへのシフトで同7.0%減となった。
 年賀葉書収入減等や荷物減少により、営業収益は1兆9978億円(同433億円減)。営業費用が同260億円増になったのは社員への特別一時金計上等による人件費増と物価上昇による。
 郵便局窓口事業は減収増益。受託手数料が三事業合わせて同711億円減(郵便13億円減、銀行143億円減、保険554億円減)と減収。営業収益は、その他収益に含まれる物販事業と不動産事業も好転とはならず、提携金融のみ前年度と同様の水準を維持できた。
 かんぽ生命へのコンサルタント等出向に伴い、人件費が同995億円減少したことで営業利益は493億円(同247億円増)と増益となった。
 国際物流事業は減収減益。営業収益は2021(令和3)年に譲渡したエクスプレス事業の収益剥落に加え、フォワーディング事業(貿易事務や輸送手配に付随し発生する業務)の貨物運賃下落等により64億6900万豪㌦(同21.9%減)。営業費用も減少したが、それ以上に収益減の割合が高く、営業損益は1億1500万豪㌦(同2億3000万豪㌦減)と減益となった。
 日本郵政の浅井智範常務執行役は「日本郵便、かんぽ生命も構造要因もあり、一気に、あるいは一朝一夕で事態を取り戻すことは難しいが、地道な施策によって荷物も盛り返し、保険も着実に積み上げていくことだと思う」などと説明した。