支社と局長との連携強化を 郵政政策部会 

2023.04.30

 総務省情報通信審議会郵政政策部会(米山高生部会長)は3月14日、4人にヒアリングを行う中で、東海支社(根岸一行支社長)で地方創生を担当する早川洋司担当部長が支社の役割の筆頭に「地域実情に詳しい郵便局長と支社がしっかり連携する」と言及した。また柘植芳文総務副大臣が「郵便局は各地域が抱える課題との〝接点〟の役目を果たす。活用は多岐にわたることを見据えて検討を」と呼び掛けた(写真は静岡県藤枝市内局でのスマホ支援)。

デジタルの対面支援は郵便局!
人的な社会資本生かそう 柘植副大臣

 早川担当部長は郵便局の利活用に向け、支社は①地域事情を熟知して、市町村と近い距離にいる郵便局長としっかり連携して情報共有を図る②各地域の実情に即した活用を検討③社員の日常業務との両立等、持続可能な事業を組成――の3点があるべき姿と指摘。柘植副大臣が「郵便局ネットワークは、国の地方資産と人的な社会資本を持つ。デジタルを使える郵便局長がいる。企業のため、コストも検討事項だが、高齢者やデジタルに弱い方々にも寄り添う地域社会をつくりたい」と総括した。
 郵政政策部会「デジタル社会における地域貢献の在り方」の審議は6回目に突入。同日は、茨城県石岡市の谷島洋司市長、日本郵政事業共創部の光保謙治係長、日本郵政の横山明彦前執行役、東海支社の早川担当部長のヒアリングでは、各地で求められる郵便局の役割としてデジタル弱者の対面支援等、自治を回す中間的な役目、局スペース活用したまちづくり等が浮上した。
 
 石岡市の谷島市長は「市の『デジタル商品券の発行実証事業』は、JPQRとマイナンバーカード、デジタル商品券を組み合わせたものとしては全国初だった。5280万円を購入いただく中で、約3割が60代以上。商品券を買いたいと思っても、スマホアプリに要する条件や作業が難しいケースもあった。デジタルデバイド対策支援に力を入れる必要がある。デジタル機能を生かした行政相談窓口や、生活補助金等の申請書類送付が必要な場合、郵便局でタブレット等を通して役所と手続きができるようになれば、利便性向上が高まる」と訴えた。
 日本郵政の光保係長は「奈良市東部地区における郵便局の配送ネットワークを生かした『(仮称)共助型買物サービス』実証19日間のうち、14日終了時点の注文数は72件。利用は30代や70代だけでなく、50代も多かった。自治体のメリットは〝共助の仕組み〟の素地を作れること。中間組織的な役割を地域の方々が関与して自治を回し、郵便局を通じて地域から資金を還元する形をモデル化して全国に広めたい」と語った。
 日本郵政の横山前執行役は「蔵前JPテラスは防災備蓄倉庫、帰宅困難者の1次滞在場所を確保、待機児童解消へ保育所の設置を組み込んでいる。また、グランダ目白弐番館は保育施設と高齢者施設を合築させ、年代を超えた交流ができる環境を創出。一方、青葉台局はにぎわい創出、コミュニティー形成の支援等、まちづくり貢献の観点から横浜市と東急、日本郵便の3者で局空きスペースを活用している」と説明した。
 東海支社の早川担当部長は「全国初の郵便局の『空き家調査業務』の協業事例は、郵便局長が日常的に三重県玉城町と意見交換を図る中、空き家の現状把握に困っている情報が寄せられたことが発端。静岡県御殿場市とのプレミアム付デジタル商品券を局窓口でチャージするスキームも局長にデジタルデバイド対策の相談が寄せられて協議。対面チャネルの強みと、現金や端末操作に慣れている社員のスキルを生かせる地域貢献だ。静岡県藤枝市内3局のスマホ相談窓口含めて、三つとも局長に相談が寄せられたのがきっかけ」と報告した。
 甲田恵子委員(㈱AsMama社長)が「郵便局が、役所と変わらないぐらい、多世代の方々を巻き込んだコミュニティーの担い手になっていただきたい」と切望した。