日本郵便 2023(令和5)年3月期 中間決算
日本郵便の中間決算は減収増益。営業収益は郵便・物流事業と国際物流事業の減収と金融2社の手数料減もあって減収(為替影響による446億円増を含む)となり、1兆7015億円(前中間期比4.7%減)。営業利益は350億円(同9.2%減)。純利益は、豪トール社のエクスプレス事業売却に関連する特別損失の減少等の影響も受けて263億円(同310.0%増)となった(写真は日本郵政の浅井智範常務執行役)。
荷物、改善傾向も減少が継続
○郵便・物流事業
郵便・物流事業は減収減益。取扱数量は全体で同1.6%減。郵便は同1.2%減、ゆうメールは同2.9%減。ゆうパック(ゆうパケット含む)は同2.8%減(ゆうパケットは同2.4%減)と減少幅は縮小。
営業収益は9469億円(同0.7%減)。営業収益は荷物同118億円減、切手・葉書販売収入同75億円減、国際郵便同30億円減だった一方で、特殊取扱(書留、速達等)が同80億円増、2022年3月期第2四半期から新たに連結対象となった子会社の影響により同70億円増だったが、営業費用も同64億円増(同0.7%増)となり、営業損益は63億円減と4年ぶりに赤字を計上した。
○郵便局窓口事業
郵便局窓口事業は減収増益。受託手数料が三事業で同352億円減(保険手数料同271億円減、銀行手数料同74億円減、郵便手数料同6億円減)と減少幅が広がり、郵便局ネットワーク維持交付金の同50億円減と合わせて約400億円減少した結果、営業収益は5378億円(同6.1%減)。
収益で唯一増加した「その他収益」のうち、不動産事業は同17億円減、物販と提携金融はほぼ横ばいだが、2022年3月期第2四半期から新たに連結対象となった子会社の影響により同45億円増だった。新しいかんぽ営業体制への移行に伴う人件費減等による営業費用減(同526億円減)を主因に、営業利益371億円(同90.0%増)を生み出した。
○国際物流事業
国際物流事業は減収減益。フォワーディング事業(貿易事務や輸送手配に付随して発生する専門業務)の貨物需要増の増収は続いているものの、昨年8月のエクスプレス事業(速達便や貨物輸送サービス)譲渡に伴う収益剥落の影響で営業収益は34億5500万豪㌦(同22.2%減)。営業費用もエクスプレス事業の費用剥落等により減少したが、全体で同20.8%減と営業収益の減少幅を下回り、営業損益は8700万豪㌦(同53.3%減)の減益となった。
日本郵政の浅井智範常務執行役は「荷物は、減少率は大きく改善しているものの厳しい競争環境の中でプラスに転じるには至っていない。郵便も減少傾向は続いたが、マイナンバーカード関連郵便物や後期高齢者医療保険証等のスポット要因もあり、減少率は縮小」などと語った。