生きる!地域と 沖縄県竹富町 竹富島唯一の郵便局は〝観光名所〟
島で、ただ一つの郵便局は〝観光名所〟で局長は祭事でも奮闘――。沖縄県竹富島の竹富局(金城文博局長)は島唯一の金融機関として、地元住民にとっては、まさになくてはならない存在。国内外から多くの観光客も訪れる。南国の優しい空気が流れる竹富島で、郵便局への期待の高まりを実感した。(写真左から、中村主任、金城局長、上間さん)
町内6局が沖縄初マイナ全業務受託
青空に映える赤瓦の屋根にはシーサーが鎮座し、木造局舎が何とも味わい深い。竹富局は島を代表する観光スポットの一つとして、国内外から観光客が訪れ、赤瓦屋根とミンサー織、星砂がデザインされた風景印や、フレーム切手も大人気だ。
一昨年に赴任した金城局長は「夏場は特に来局者が多く、局舎を記念撮影される方も引っきりなし。外国人には翻訳アプリも活用している。サンゴの石垣や白砂を敷いた街路は国の保存区域に指定され、局周や私が住む集落でも清掃活動に参加している。国の重要無形民俗文化財に指定されている島最大の行事『種子取祭』では郵便局長も2日間の奉納を執り行うほか、さまざまな行事でお声がかかり、大変ありがたい」と地域貢献への情熱を燃やす。
同局勤務の中村友里子主任は茨城県から、アソシエイト社員の上間裕子さんは大阪府から縁あって竹富島に移住した。単マネ局に勤務していた中村主任は「竹富島に憧れていたので、窓口業務ができ、住む所も用意してくれて、こんな良い条件はないと離島勤務に応募した。地域の皆さんに支えられ、魅力あふれる日々は本当に充実している」とほほ笑む。
同島など八重山諸島から成る竹富町(前泊正人町長)内6局は7月15日、マイナンバーカードの申請補助から交付・受け取り、電子証明書の更新など全業務を受託し、キオスク端末も設置した。沖縄支社(金城努支社長)初。利便性は格段に向上し、地元住民から喜びの声が上がっている。
同町役場総務課の成底渚係長は「日常的に郵便局を利用される町民の皆さまにとって、より身近な場所で行政サービスが受けられる環境が整った。郵便局は地域に根差した存在であり、町民にとって最も身近な公共インフラの一つ」と強調する。
また、「今後は支所業務の一部受託や高齢者等への送迎支援など、さらなる連携の可能性も期待している。地域課題の解決に向けて郵便局と連携しながら、町民の暮らしを支える仕組みづくりを少しずつでも進めていけたら」と期待を寄せる。
地方公共団体との共創の歩みが全国的に進む中、島だからこそ、小さな町だからこそ郵便局の使命は光を増し、可能性が広がっている。