インタビュー 全国簡易郵便局連合会 黒川歓吉理事

2021.12.05

 今年、全国簡易郵便局連合会(柳澤秀全会長)の防犯部会では、「私の防犯施策」とのテーマで全国から小論文を募集した。同部会の副部会長を務め、現場発の声を集約する取り組みを推進した黒川歓吉理事(四国地方会会長/徳島県・折野簡易局)は「犯罪は、あってはならないし、お客さまの信用を絶対に裏切ってはならない」と語り、無事故の局運営を強調する。

信用を絶対に裏切ってはならない

 ――四国地方会で力を入れていらっしゃることを教えてください。 
 黒
川理事 4県それぞれに地域性を生かした特色があるが、「四国は一つ」を合言葉に、各種情報交換を行うなど横のつながりを強めている。
 3年ほど前から愛媛県で青年部による点検・報告リストを実施し、その後四国全体で毎月行うようになった。約10項目の注意事項等を確認・報告する中で、事故や犯罪防止などに役立っている。
 ――全簡連ではどのようなことに取り組まれてきましたか。
 黒川理事 
前期にネットワーク部会、今期に防犯部会で2年目を迎えた。防犯部会で推進した小論文募集には全国から多数の応募があり、入選作品49点を冊子にして全簡易局に配布する予定だ。素晴らしい視点での作品ばかりで非常に参考になる。
 犯罪は、あってはならないし、お客さまの信用を絶対に裏切ってはならない。基本に忠実に、さらに無事故の局運営を呼び掛けていきたい。

 ――受託者となられたきっかけは。
 黒川理事 
2003(平成15)年に日本郵政を退職し、その後、四国支社勤務時代の後輩がサポート局の局長となったことが縁で11年から受託者となり、今年で10年目。瀬戸内海に面した風光明媚な漁村・北灘町で、地域や会社へのご恩返しの思いで仕事をさせていただいている。
 わが町は人口1700人足らず。都市部への流出や過疎化が急速に進んでおり、後継者問題は深刻だ。他の地域も同様で、来客者が減って時間を持て余しても局長一人というわけにはいかず、補助者を雇う費用の問題など悩みどころ。
 一時閉鎖となる局もあるが、いったん閉じるとなかなか戻れない。地域そのものの基盤が揺らいでいる中、ユニバーサルサービス維持のためにも簡易局の存在感を示さなければいけない。
 ――地域住民と連携した施策が話題になったそうですね。
 黒川理事 
局の隣の空き部屋を利用して、ギャラリーを開設している。近所のじいじ、ばあばの孫自慢が高じて、子どもたちの絵を展示したことがきっかけだ。地域の皆さまの書や短歌、俳句、陶芸、藍染など多彩な作品を陳列してきた。13年にはNHK徳島放送で「郵便局の隣は地域住民の憩いの場」と生中継され、お客さまも喜ばれた。
 来局される方はお年を召された方が多く、体の不自由な方も少なくない。車いすで来られて身の上話などもされ、ニコニコして元気に帰られる。この方々の笑顔のためにも、まだまだ頑張らねばと思う。