山間地の買い物のプラットフォームを
おいしい農産物が生産されても販路拡大が難しい中山間地の小規模農家や、料理店等の地域課題を解決しようと、総務省と日本郵便が10月22日から実証事業を開始した。総務省「郵便局等の公的地域基盤連携推進事業」は、静岡市内の山間地(奥静岡地域:以下、オクシズ)と中心市街地間で郵便局の既存物流を活用し、オクシズの農産物や加工品の流通促進を図るもので来年1月末まで。日本郵便は楽天グループ、㈱タカラ・エムシーの買い物支援と組み合わせ、オクシズの買い物課題解決を目指すもので、来年4月末まで。実証では「おたがいマーケット」や「ぽすちょこ便」が活用された。
総務省 日本郵便×楽天G×タカラ・エムシー
総務省郵政行政部企画課の山本和弘課長補佐は「各地域の足りないサービスを全て受け入れ、コミュニティ・ハブ機能を郵便局が担えるよう推奨したい」と方針を示した。
楽天グループスーパーマーケットOMO/DX事業OMOプラットフォーム事業部の小林英隆アカウントデベロップメントリーダーは「楽天会員のIDは国内1億以上。各社の強みを掛け合わせることで持続可能な仕組みができる」と指摘。タカラ・エムシー広報課の田海廣人課長は「冷凍も生鮮品も時間までに受け取っていただければ品質を保てる」と説明した。
静岡中央局の山本浩吏局長は「おたがいマーケットとぽすちょこ便を同時活用は全国初。お客さま拡大のきっかけにしたい」と述べた。清滝局の中村伸生局長は「新鮮な農産物をお届けするのは郵便局の使命。サービスの使い方が分からない場合、郵便局に気軽にお越しいただきたい」と意欲を示した。
日向局の谷津明良局長は「『こういうスーパーを利用しませんか』と電話だけでなく窓口でもお伝えさせていただければ話のネタになり、地域が盛り上がる」と強調した。
日本郵政事業共創部の光保謙治係長は「地域に住み続けたいと思っていただけるサービスの仕組み構築や、地域の方同士をつなぐ役目を果たしたい」と語った。
日本郵便の宮原悠多係長は「ぽすちょこ便は山形県、奈良県、岡山県に次いで静岡県は4件目だが、4年後には100地域展開を目指している」と話した。
サービスを利用した「B&B ITADAKI」(宿泊と料理店)を経営する鈴木龍士郎さんは「スーパーまで20分。郵便局までは5分。買い物時間を超短縮でき、配送費用も安い」と喜びを見せた。
レモン等を生産するNPO法人フロンティア清沢の幡川恵子代表は清沢局にケースで生産物等を運びながら、「郵便局は金融や郵便だけ使っていたが、こんなサービスもあるなんてありがたい」とほほ笑んだ。通常1ケース約1000円。ぽすちょこ便の場合は、25㌔㌘まで300円。