増田日本郵政社長 防災、代替機能の体制整備へ

2024.09.24

 日本郵政の増田寬也社長は8月7日の記者会見で、郵政民営化法の見直し法案に盛り込まれている日本郵政グループの3社体制に対し、「株主の方、地域の方、社員いずれも大事。全部の主体を重視して経営しなければいけない。バランスの問題かもしれないが、考えながら経営する」との意向を示した。一方、防災対応を「災害時の対応をグループとして確実なものにできるよう、今取り組んでいる。本社が被災した時でも代替機能を確保する体制をつくらなければならない。支社も同じ。代替機能を確実なものにしたい」と強調。さらにMEKIMEKI体操について、「ぜひ、広めていきたい。スポーツを通じても地域に親しまれる郵便局のきっかけになる」と語った。

災害時の代替機能準備へ

 増田社長は冒頭、「日本子育て支援大賞2024」も受賞した「みんなの郵便局」第4期を9月から来年3月まで北海道網走市、栃木県宇都宮市、奈良県御所市、福岡県宮若市、熊本県山鹿市と鹿児島県鹿児島市の6カ所での開催、「ズッキュン♡郵便局」第3弾を8月9日~19日まで池袋で開催(12面に詳細)すると発表した。
 記者団の「郵便事業収支に対する認識と今後の収益力改善策を」との質問に対し、「料金値上げ以外にもやるべきことをやっていきたい。全国で約17万6000本あるポストに投函する利点を生かした新商品を検討中。年賀状も工夫した新サービス形態を考えたい。自動区分機の性能、配達ルートの取扱量や内容の最適化等の改善に努めたい」と明かした。
 「総務省で検討中の郵便料金制度で見直してほしい部分は」には「諸外国は物価変動に合わせて頻繁に見直している。日本は消費税増を除くと約30年同じ。環境変化に応じ、柔軟な料金設定ができる制度が望ましい」と指摘した。

 郵湧新報の「①グループの危機管理体制を②ラジオ体操と合わせてMEKIMEKI体操を国民体操のように広める方針は③郵政民営化法見直しの動きの中で3社体制に賛成の株主の方もいると思うが」には、「災害時対応を確実なものにできるよう今、取り組んでいる。首都直下、南海トラフ地震、大雨の危険が高い場所は災害時に社員の安全を見ながら、郵便や荷物の業務、金融商品を含めて災害後も運営できる形を確保する必要がある。本社が被災した時に迅速に対応できるよう、幹部の非常召集訓練を今年も予定」と述べた。
 また、「南海トラフの危険度が高い地域を最優先して代替場所を確保し、確実なものにしたい。近畿支社(小池信也支社長)の代替場所も見ている。全局を防災拠点にするのは不可能だが、支社や主な郵便局に防災グッズや資材を置いて防災拠点機能を高める。社員も専門家ほどでなくても防災知見を高めるために、気象庁等の専門機関との連携は重要。被災地への物資運送以外にも、さまざまなニーズがある。物流は日本郵便がヤマトさま、佐川さまと共に使命を果たさなければならない」と意欲を示した。
 「地域に親しまれる郵便局のきっかけとして、MEKIMEKI体操も広めたい。大きな武器はラジオ体操だが、それ以外に部活指導者の派遣等、スポーツ&コミュニケーション部を中心に、スポーツを通じて地域の健康増進に貢献したい」と強調。
「3社体制は、株主の方、地域の方、社員のいずれも大事。全ての主体を重視して経営しなければいけない。バランスを考え、経営する」と語った。