民営化委が意見書を公表 制度見直し含めた検討を

2024.04.02

 郵政民営化委員会(山内弘隆委員長=写真)は3月7日、民営化の総合検証に対する意見書を公表した。意見には日本郵便への提言の一つとして「郵便事業のより安定的な提供を将来にわたって確保する観点から、必要に応じて制度の見直しも含めた検討が求められる」と明記された。

3年ごと6度目の意見書提出

 郵政民営化委員会の意見は同日、民営化推進本部長である岸田文雄総理大臣に提出された。2007(平成19)年の民営化以降、3年ごとの検証は今回で6回目。意見の項目は、日本郵政グループ各社別に加え、「郵便局ネットワーク」として要望がまとめられている。
 「日本郵政グループ」については21年の意見書と同様に、グループの司令塔としてコンプライアンス強化、成長戦略、共創プラットフォームづくりを求めている。将来の金融ユニバーサルサービス確保のため、日本郵政と日本郵便と資本関係のない企業との間の受委託関係を担保する実効性のある方策の検討を要すると記している。

〝リアル拠点〟の役割に期待も

 一方、「郵便局ネットワーク」は「郵便局は住民に寄り添いながらサービスを提供するリアルな拠点としての役割を期待する」と明記。「日本郵便」には「必要に応じて制度の見直しも含めた検討」のほか「これまでにとらわれない新たな需要の掘り起こしなど収益力の向上を図る」と要望している。
 「ゆうちょ銀行」には「日本郵政と資本関係が希薄化する中で、日本郵政・日本郵便とどう連携するかの課題解決」を求めた。「かんぽ生命」には「募集品質確保の努力」「第三分野の充実」「郵便局ネットワークを活用した商品開発や営業戦略等、日本郵政と日本郵便との連携」を期待すると提言した。

 【記者団の質問】
 ――金融2社のユニバーサルサービス義務は日本郵政と日本郵便が担い、金融2社にはない法制度見直しの議論はありましたか。
 山内委員長 なかった。あくまで現行制度を前提に資本関係が希薄化した時にどうなっていくか、日本郵政グループに具体策を考えるよう求めた。
 ――今後、公的サービスの担い手として郵便局の役割は。(郵湧新報)
 山内委員長 郵便局が金融ユニバを維持すると法制度で定められている。いかに維持できるかがポイントだが、自治体との連携や一部業務受託により地域のインフラ維持はできると思う。