特殊詐欺被害過去最大 各地で防犯の取り組み強化

2025.11.19

  特殊詐欺事件が急増する中、全国の被害額は約722億円(今年7月末時点)に達し、過去最悪だった昨年の総額を7カ月で上回った。高齢者はもとより、20~30代の若者も標的にされるなど、被害は全世代に広がっている。

特殊詐欺 〝水際防止〟郵便局の力大きい

 各地の郵便局は警察署と協力し、防犯施策をさまざまに展開。山形県酒田市内6局は酒田警察署(小川広治署長)と連携し、「詐欺被害防止広告」を掲載した現金封筒をATM脇に設置。窓口でも直接手渡しし、お声がけも活発に行っている。

酒田市で〝被害防止広告〟封筒

 同封筒は山形県西部地区連絡会(小林正浩統括局長/羽前広野)酒田第二部会(東海林広典部会長/北平田)の発案。堀伸副部会長(東平田)は「部会会議で検討し、ともかく警察署に当たってみようと依頼する中、実現できた」と振り返る。年金支給日の10月15日には、酒田局(川部章夫局長)に警察関係者らも参加し、特殊詐欺被害防止チラシを来局者に配布した。小林統括局長は「封筒に入れる瞬間に効果を発揮するだけでなく、持って帰れば改めて注意喚起ができる」と強調する。酒田署の佐藤尚澄警部補は「これまでも水際で止めていただき、郵便局の力は大きい」と感謝を述べている。

八王子南 詐欺防止ステッカー

 東京・八王子南局(土屋政和局長)は南大沢警察署(堀口栄二署長)と連携し「特殊詐欺防止啓発」活動に取り組むことになり10月9日、同局にて出発式が行われた。出発式では、集配バイクに掲示する特殊詐欺防止を呼び掛けるステッカーが堀口署長から土屋局長に手渡された。土屋局長は「詐欺犯罪からお客さまを守る、また郵便局を詐欺に利用させないためにも警察署との連携活動は非常に意味のある取り組みだ」と強調。堀口署長は「地域に欠かせない存在である郵便局と安全防犯活動を実施できることは大変心強く思っている」と郵便局との協働に期待を寄せた。局駐車場では、土屋局長、堀口署長が見守る中、第一集配営業部の川村浩史部長の出発の合図で、ステッカーを貼ったバイクが次々に局を出発していった。準備に当たった同局総務部の石井浩部長は「順次、管内140台のバイクに拡大していきたい」と意欲を示した。

宮城南部 国際電話詐欺の撲滅支援

 国際電話からの特殊詐欺被害を防ごうと、宮城県南部地区連絡会(大沼芳則統括局長/柴田)は、亘理郡内の各局に国際電話利用休止申込書を設置。10月9日には、キャンペーン用横断幕を亘理警察署に寄贈し、国際電話利用休止申し込み支援窓口が亘理局(深瀬正和局長)に設置された。注意喚起のチラシと利用休止申込書を置き、社員が記入も手伝う。大沼統括局長は「地域を守る気持ちでサポートしたい。東北、全国に広めたい」と展望した。

埼玉北部 歌で振り込め詐欺防止

 埼玉県北部地区会(鶴間由行会長/行田須加)の行田市内12局が主催する「行田警察署による年末特殊詐欺等防止特別講話&さくまひできスペシャルコンサート」が10月4日に開催された。警察署の講話では「詐欺の電話は海外から多くかかってくる」と注意を喚起。「さくまひでき」さんは、振り込め詐欺防止の歌「ふりこまないで」や代表曲の映画「翔んで埼玉」の挿入歌「人生たまたま・・・さいたまで」などを披露した。