支所が丸ごと郵便局に 宮崎県上新田局

2023.03.17

 九州支社(豊田康光支社長)管内の宮崎県新富町にある上新田局(日野敬介局長)内に、2月から農協の土地に建てられていた新富町支所の「サービスコーナー」が丸ごと移転・入居した。極めて珍しい自治体と郵便局の〝共創〟の形が誕生した。(右奥がサービスコーナー)

牛も喜ぶ局スペース活用

 上新田局のある上新田地区は畜産農家が広がる。牛を購入し、育てる飼育農家が多く、子牛を購入する際に所得証明書等、手間の掛かる手続きが必須となるため、特にセリが行われる日には支所サービスコーナーが混み合っていた。しかし、昨年、農協の土地に建てられていた支所のプレハブ庁舎が老朽化のために廃止が決定。車で10分ほど7~8㌔離れた町役場まで事務手続きに行かなければならなくなった。

 住民の嘆きの声を耳にした町役場職員から上新田局に事務委託が打診されたが、上田局は局長と社員の2名局。非常勤社員も仕事をしているが、業務受託までは難しいと判断し、いったん断った。その後、町役場は九州支社にも解決策を相談し、九州支社と町役場が上新田局に視察に訪れ、「スペースを確保できる」と、サービスコーナーの局内移転が決まった。

 日野局長は「これまで農協と特別な協力関係はなかったが、支所が農協の土地にあったため、こうなった。お客さまから喜びのお声をいただいている。局も付随して来客者の方が増えてきた」とうれしそうだ。過去に、石川県加賀市の山中温泉支所が山中局内に移転するケースがあったが、農協の土地から移転するケースは今回が全国で初めて。