生きる!地域と 岡山備前西部地区連絡会
我が地域には、これといった特産品がない。だったら、自分たちで作ればいいじゃないかと、岡山県備前西部地区連絡会(野村和正統括局長/岡山津島)は3年前からニホンミツバチの養蜂を開始した。耕作放棄地では山椒栽培も始め、エコで注目される竹チップの生産にも挑む。気候温暖な〝晴れの国〟岡山の地で展開される地方創生の熱き取り組みを追った。
特産品がなければ、自分たちで作る!
10月29日、岡山津島局の屋上に歓声が響いた。巣箱作成から3年目で初の採蜜。巣蜜は琥珀色に輝き、採れたてのハチミツを味わった地元関係者や来賓は「小さなミツバチがこんなに大きな巣を作るなんて」「新築ビルの屋上でぜひ養蜂をやってみたい」と次々に感動の声を上げた。
きっかけは、野村統括局長が局長会仲間と参加した「銀座ミツバチ」見学会。絶滅危惧種のニホンミツバチについて学び、ホームセンターに通って機材を準備し、役員の方々と心一つにスタートした。
野村統括局長は「以前、全特の地方創生活動の発表会に参加し、うちには誇れるものがないと恥ずかしい思いをした。どうせなら皆で楽しめるものをと養蜂を始めた」と明かす。
岡山津島局の屋上に巣箱を設置
しかし、現実は甘くなかった。三田操副統括局長(岡山奥田)は「たくさん巣箱を置いても、なかなか入ってこない。OBや社員たちにも協力いただき、ようやく3カ所で捕獲できた」と笑顔で語る。
ニホンミツバチの蜜は「百花蜜」と呼ばれ、希少で味は奥深い。局長たちから愛情たっぷりに育てられたミツバチは極上のハチミツを与えてくれた。今後は地元企業と連携し、お菓子や酒、料理、化粧品等の商品化を目指す。養蜂の責任者の石井啓部会長(岡山平井)は「岡山でしか採れないハチミツで、地元の方々と一緒に地方創生に貢献したい」と意欲を燃やす。
養蜂、山椒、竹チップで商品化目指す
一昨年からは山椒栽培も始めた。その数は1000本に迫る。中心者の河田進部会長(御津高津)は「地元農家にもお願いして広がってきた。
11月には大手スパイスメーカーが〝岡山に山椒栽培をしている郵便局長たちがいる〟と聞き付け、視察に来られた」と語る。農家の藤元実さんは「根をイノシシに掘られたこともあったが2年目を迎え、春の収穫が楽しみだ」とニッコリ。
山椒の苗木。地面には「竹チップ」がまかれている
さらに、同地区は竹チップの生産にも挑んでおり、責任者の小林宏章部会長(岡山野田屋町)の実家を訪ねた。「竹を切り出し、チップにして発酵させれば環境に優しい肥料や防草材となり、夢は広がる」と目を輝かす。
野村統括局長は「養蜂も山椒も竹チップも全て里山保全につながる。地域を活性化し、新たな産業へと広がっていければ」と未来へ目を向ける。
竹は地中深くで、根と根を互いにがっちりつなげている。強い信頼の絆で結ばれた備前西部地区の団結の姿のようだ。
(左から)石井部会長、野村統括局長、三田副統括局長、小林部会長