新たな物流モデル構築へ、共創を加速
日本郵便が物流各社との〝共創〟を加速させている。8月1日からは佐川急便と、東京九州フェリーを利用した関東―九州間の幹線共同輸送をスタート。9月1日からは福山通運とEC荷物の取り扱いを始めた。9月27~29日にはヤマト運輸、佐川急便、西濃運輸、福山通運との5社共同配送サービスの実証実験を埼玉県秩父市の山間部で実施。各社の強みを生かした新たな物流モデルが動きだした。
佐川急便 ヤマト運輸 西濃運輸 福山通運
日本郵便、各社の強み生かし共同配送
佐川急便との共同輸送は積載率の向上に加え、トラック輸送をトレーラーとフェリー輸送に転換することで、CO2排出量を約6割削減し、ドライバーの運転時間を9割以上削減することを目指す。
運用スキームは、佐川急便が関東で集荷した九州向け宅配荷物をXフロンティアでセミトレーラーに積み込んだ後(写真上)、新東京局に立ち寄り、九州向けの郵便物などを積み合わせて横須賀港まで輸送。
横須賀港でシャーシ(コンテナを乗せる骨組み部分)のみフェリーに積載し、新門司港まで海上輸送。
到着後、新福岡局で郵便物等を降ろし、佐川急便の福岡センターで荷降ろしを行う。この取り組みは国土交通省から、物流総合効率化法の対象に認定された。
福山通運と契約
福山通運とは運送業務委託契約を締結。同社のEC荷物を全国から東京・大阪の両主管支店に集約し、それぞれ新東京局と新大阪局へ引き渡し、ゆうパックとして配達する。福山通運の出荷支援システム「iSTAR-2」を活用できる専用荷札を発行し、各種システムも連携する。今後、引き渡し拠点の拡大等に取り組んでいく。
高齢者見守りも
秩父市大滝地域で実施された共同配送は、佐川急便、西濃運輸、福山通運が同地域宛ての荷物をヤマト運輸の影森営業所に持ち込み、同社の車両が荒川局に立ち寄って日本郵便の荷物を積んで、受取人に配達するという流れで行われた。位置情報ビッグデータによる配送効率性の分析は、ゼンリンが担当した。
来年度以降、地元の物流事業者を加え、ラストワンマイルの配送を担う「秩父モデル」の実装を目指す。「物流機能」と「高齢者の見守り機能」を兼ね備えることも期待され、運行管理をシステム化し全国展開も見据えている。