インタビュー 全国簡易郵便局連合会 河村とし子女性部長

2022.03.04

 ダイバーシティ(多様性)が叫ばれ、女性が活躍する社会が加速する中、その先駆けとなってきたのが簡易局だ。女性受託者の割合は6割以上。その中心として、防犯などのメッセージを発信してきた全国簡易郵便局連合会の河村とし子女性部長(山口県・下関田倉)は「簡易局の女性は皆、働き者。責任感が強く、郵便局への思いにあふれている。励ましの連帯を広げ、手を取り合って進んでいきたい」と希望の輪を広げる。

一人一人が輝く励ましの連帯を

 痛恨の思い出がある。河村さんが女性部長になる前のことだ。ある簡易局で女性局長による犯罪が起きた。
 ――どのようなお気持ちでしたか。
 河村部長 ただただ、ショックだった。女性は防犯に対して意識が高いと思っていたが…。何か行動を起こさなければと、女性部長就任後から「つなげよう防犯の輪めーる」を10地方簡連の女性部長持ち回りで毎月発信している。〝後悔のない仕事を〟〝家族で泣く人を出さないように〟などの言葉を届け、各県で犯罪ゼロの思いを共有してきた。その後は女性部の犯罪は起こっていない。

 ――6割以上の受託者が女性で、全国津々浦々に広がる郵便局ネットワークを支えていらっしゃいます。
 河村部長 簡易局の女性は皆、働き者。責任感が強く、郵便局への思いにあふれている。それぞれに家事や育児、介護と大変な中、ご自身の病と闘われている方もいる。そうした方々を絶対に孤独にさせてはいけない。北海道から沖縄まで網の目のように励ましの連帯を広げ、手を取り合って進んでいきたい。

 ――課題として感じられている点は。
 河村部長 補助者の獲得が最重要課題の一つ。1局で補助者を雇うのは難しく、2、3局で1人を共有することも多い。補助者なくして簡易局の維持はできない。また、1月からの料金改定によって、現金による払い込み等に手数料料金が加算され、簡易局のお客さまがますますコンビニに流れていくのではないかと危惧している。

 ――簡易局の存在意義について、どのように思われますか。
 河村部長 年配者や弱者に優しい簡易局は、地域の最後のとりでだと思う。お客さまから「ありがとう」「分からんこと教えてくれて助かったわ」と感謝をいただけることは何よりの喜び。義父から2001(平成13)年に局を引き継いで以来、変わらぬ思いだ。受託者が自分の生活を犠牲にするようなことのないよう、働き方改革等についても議論を積み重ねていきたい。

 ――女性部の方々への改めの思いは。
 河村部長 皆さん、いろいろな才能を持っていらっしゃる。使命感も強い。背中をそっと押してあげれば、飛躍的に成長される。私の信条は「コツコツが、勝つコツ」。日々、地道にやり抜いていくことが一番大事なことだと思う。簡易局の発展のため、女性部一人一人が輝くために力を尽くしていきたい。