相続相談をビジネス化へ

2022.09.20

 日本郵便が遺産相続に関する相談を受け付ける新規事業を検討していることが日本郵政関係者への取材で分かった。取次サービスでなく、ビジネス展開するもので、都内の局内で相談を受け付ける実験を、早ければ年度内にも始める。相続などの専門人材確保も視野に入れる。団塊の世代が75歳以上になる今年以降、相続の相談は全国で増加しており、収益化が可能と判断したとみられる。

資産運用や年金相談も?

 相続ビジネスの実験は今後、大手町局に設置されたテレワーク用のボックスを使い、遠隔地からでもインターネットを介して専門家が相談を受け付ける形式で行われる見通し。相続だけでなく資産運用や年金も相談対象とする予定だ。
 また、すでに多くの局内にあるローカウンターで相談に訪れた人にタブレット端末を使ってもらい、ネットを通して相続などの専門家に意見を求めるといった相談の形式も検討する。
 日本郵便は2018(平成30)年から終活関連サービスを提供する他企業と連携してお墓や相続に関する相談を受け付けるサービスを東京と北海道の郵便局で展開してきたが、今後は自社で専門家を雇い入れるなど「他社へ取り次ぐのではなく自社で本格的にやりたい」(関係者)考えだ。新規事業のため、今後届出も必要になる。
 相続に関する手続きは、世帯主の変更届など自治体に関わるものから、相続税の申告など専門知識が必要なものまで多岐にわたる。そのため、相談先も自治体や弁護士、行政書士、金融機関などさまざまに想定され、日本郵政グループにとって競合となるメガバンクも注力している。
(ジャーナリスト・大久保冨士鷹)