総務省検討会最終報告 郵便局データ活用へ 今秋第2段階
郵便局が保有する膨大なデータを社会で具体的に生かすために今秋から、総務省の「郵便局データ活用アドバイザリーボード(仮称)」が動きだす。同時に日本郵政グループ内には「データガバナンスWG(仮称)」が設置され、ロードマップに基づき、データ活用を推進。昨年10月から審議を重ねた「郵便局データの活用とプライバシー保護の在り方に関する検討会」(谷川史郎座長)の最終報告を踏まえ、公的とビジネスの両面から個人情報等に最大限配慮し、郵便局データを実際に活用する第2段階に突入する。
信頼軸に公的とビジネス化推進
「アドバイザリーボード」は、郵便分野ガイドラインの解説に追記された「公的機関等へのデータ提供」の具体的運用や新たな事項や要望に対して助言。必要な際は意見交換の場を設け、日本郵政グループを定期的にフォローアップする。
検討会の疑問の末に認められた大規模災害時等の被災者情報、税滞納者の転居届の自治体等への情報提供や、DVやストーカーなどで弁護士会への照会などの運用に当たり、様式と手続きは関係団体と日本郵政・日本郵便との協議の場を今秋めどに立ち上げる。
総務省が毎年、予算計上している郵便局と自治体等で地域課題を解決する「郵便局等の公的地域基盤連携推進事業」の実証事業等を通じても郵便局データ活用を支援。日本郵便は個人情報を含まない空間情報、地図基礎情報のデータ収集を業務効率化とともに自動運転等に必要な「デジタル地図」の構築により、社会での有効活用に加え、ビジネス化も視野に検討し、2024(令和6)年度中の実現を目指す。
日本郵政グループはデータ活用の利用者同意を的確に取得する仕組みを検討し、23年度めどに構築。将来的な情報銀行やデータを利用したビジネスを信頼回復やデータガバナンスの体制強化など、法令上の成約や社会的受容性を確認しながら段階的に探っていく。
報告書には「地域課題の解決や新ビジネス開発を各地域で行う代表的な取り組みのスマートシティに、日本郵政グループのコミットはほとんどない。スマートシティの取り組みに参画することでさまざまな可能性が広がるため、積極的な対応が期待される」とも記された。
7月25日に開催された最終検討会で、日本郵政の大角聡DX推進室長は「個人情報保護や社会的受容性等には十分配慮しつつデータ活用を推進し、お客さまに便利で新たなサービスが提供できるよう進めていく」と強調。
日本郵便の小池信也常務執行役員は「信頼の回復と醸成、適正な取り扱いを前提に社会環境のニーズをとらえた取り組みを進めたい」と感謝の意を表した。
中西祐介総務副大臣が「データガバナンスの体制強化や業務効率化、法的要請に応えるデータを活用した新規ビジネスの展開など積極的に推進いただきたい」と総括した。