地産地消で未来の局舎を
木材を社会の好循環に乗せて地方の雇用を創出し、地域の所得増、人口増を目指す「CLT(強度が強く環境に優しい木材)で地方創生を実現する議員連盟」(石破茂会長)が11月25日、国会内で総会を開催した。総会には、日本郵便の佐野公紀常務執行役員が出席し、屋根や家具等にCLTを活用する「環境配慮型郵便局(+エコ郵便局)」の取り組みを説明。首長らも熱心に耳を傾けた。
その第1号として来春、移転・開局する丸山局(千葉県)近辺で27日、「地域の材料で地域の子どもたちと作る+エコ郵便局焼杉製作ワークショップ」が開催された。
CLTで地方創生と脱炭素促進を
「CLT(強度が強く環境に優しい木材)で地方創生を実現する議員連盟」(石破茂会長)は11月25日の総会で「CLT建造物はRC(鉄筋コンクリート)造よりCO₂を33%削減し、カーボンニュートラル化に貢献。あらゆる建造物のCLT活用を」と決議を表明。11月26日に中山展宏国土交通副大臣と松野博一内閣官房長官に、30日には金子原二郎農林水産大臣、山口壯環境大臣に申し入れた。
議連が決議、関係大臣に申し入れ
総会冒頭、石破議連会長は「日本は森林率と蓄積率が高い。生かすことで地方に雇用を創出し、所得を上げ、人口増を目指す。全国普及に向けた障害をどう除去できるか答えを見いだしたい」と呼び掛けた。「CLT活用促進に関する関係省庁連絡会議」議長の磯﨑仁彦内閣官房副長官は「CLT活用推進は地方創生、国土強靭化、木材の新たな需要創出、森林の適切な管理を通じた土砂災害の抑制など、さまざまな効果がある。政府は『CLT普及に向けた新しいロードマップ』を作成した」と述べた。
2015(平成27)年に高知県と岡山県真庭市が発起し、現在は29都道府県と81市町が参加する「CLT創生を実現する首長連合」(共同代表:濵田省司高知県知事・太田昇真庭市長)の濵田知事は「木材の強度や耐火性能に関する技術性能が進展し、さまざまな建築物でCLTが利用されるようになった。高知県も計32棟、自治会館や校舎に使っている」と強調。太田市長は「CLT建築物が増えることで都市や町の品格も高まる。真庭市はCLT専用工場を持つ。『民間建物を含めた促進法』を有効に活用し、関西万博でも頑張りたい」と語った。
日本郵便の佐野公紀常務執行役員は「千葉県南房総市内の丸山局が移転する際、CLTを活用した『+エコ郵便局』第1号として建て替え中で、来春開局する。平屋建ての132平方㍍。CLTを屋根全面と筆記台や窓際のベンチ等に使い、太陽光パネルを設置し、40~50%を太陽光発電で賄う。2023(令和5)年末までに10局程度CLT局舎を作り、全国バランスよく展開したい」と説明した。
古屋圭司議連会長代理から「今、改築対象の局舎はどのくらいで、全体の中で10局の割合は」との質問に対し、佐野常務は「局舎建て替えは、おおむね毎年百数十局程度。各地域でCLTを進める中で出てくる課題にも取り組み、着実に検討したい」と答えた。古屋議員は「局舎は耐震改築等をしなければいけないと思われるため、ぜひCLTの活用ルールも作っていただけたらと思う」と要望した。
JR東日本の中西雅明常務執行役員は「CLTの駅舎実績は地域から好評。現時点で駅舎建替計画の具体的なものはないが、また出た時点で前向きに検討したい」と意向を示した。
日本CLT協会から「『公共建築物等木材利用促進法改正法』が施行された。2022(令和4)年度予算案にはCLT製造事業者と設計施工者の連携支援も盛り込まれている。建築以外の技術開発も始まった」と報告があった。