日本郵便×佐川急便、クール便の第一歩

2022.03.11

 日本郵便と佐川急便がール(冷凍)便配送の3月1日、協業によるク第一歩を踏みだした。取り扱うのは郵便局物販サービスの郵便局カタログに掲載される八天堂の「季節の3種盛合わせ」と「季節の4種盛合わせ」。
 両社はシナジーを最大限発揮するために「ワーキングチーム」を結成。物流のエッセンシャルワーカーとして小型荷物増の社会ニーズをくまなく吸い取っていく。

郵便局物販サービスのカタログ商品

  
 宅配業界3位の日本郵便と2位の佐川急便が昨年9月に協業を発表して以来半年、3月1日の記者会見で日本郵便の小池信也常務執行役員は「人手不足や社会課題解決の対処が単独企業体では難しいことは社会の共通認識。競合はしつつも、一緒にやれるところは手を取り合う。オープンな気持ちで進めたい」と強調。佐川急便の中川和浩取締役は「お客さまの利便性を高め、持続可能な共同インフラ構築を進める。物流で人々の暮らしを支えるため、企業の垣根を越えて連携し、社会課題の解決に向かいたい」と意欲を示した。

共同輸送でCO₂も削減

 会見では、昨年9月に発表されたサービスについて、①ゆうパケットを「飛脚ゆうパケット便」として佐川急便が顧客から預かり、日本郵便に差し出し、日本郵便の配送網でお届け(準備が整い次第全国。昨年11月から首都圏の一部でスタート)②佐川急便が顧客から預かる「飛脚グローバルポスト便」を日本郵便に差し出し、「EMS」の配送網でお届け(2月1日から全国)③クール宅配便第1弾(郵便局物販サービスのカタログに掲載される八天堂の「季節の3種盛合わせ」と「季節の4種盛合わせ」を佐川急便の「飛脚クール便」で配送)《3月1日から全局にカタログ》――と進捗が報告された。

佐川の荷物、局受取実証へ

 このほか新たに、①佐川急便が配達し、不在だった荷物の郵便局受取りの実証実験(4月以降、世田谷区と目黒区の数局)②幹線輸送の共同運行便開始。輸送車両を削減し、1カ月で1・8㌧(25台分)のCO₂削減――の新たな取り組み2点が発表された。
幹線輸送の共同運行便の東京―九州間は、横須賀港から門司港までフェリーを使って関東圏の荷物を九州全エリアに配送。福島県郡山市も九州も片道輸送だが、相互間が可能であれば増やす方針。
 日本郵便の小池常務執行役員は「北海道含め遠方地域の配送をどう一緒にやっていくかといったことは協議中。佐川急便の荷物の郵便局受け取りは都心の住宅地にある数局での実証実験でニーズを探る。利便性が高いと感じていただけるかを検証。幹線輸送共同化は、両社で運用するトラックの便をいかに効率的に使うのかに焦点を当て、まず解決すべきだろう」と語った。
 佐川急便の中川取締役は「クール便は一般の荷物と違い、人と車を用意してすぐできる商品ではない。まず施設ありき。物流量に合わせて施設を増強するには準備がかかる。これまでの飛脚宅配便は料金がある程度一定高いが早い。EMSを活用させていただく飛脚グローバルポスト便は若干料金が安くなり、1週間~15日ほどかかる。お客さまは配送手段の選択肢ができた」と説明した。