社説
衆院選から間もなく、3週間が過ぎようとしている。結果は与党に厳しかったが、批判によって票を伸ばすのではなく、政策という中身で勝負することが政治の根本精神だ。自民党は政権公約の中で「郵政事業を取り巻く環境の変化に対応するため、郵便局による公共サービスを含む公的サービスの提供の本来業務化、郵便局ネットワーク維持のための新たな財政上の措置の創設等のほか、日本郵政と日本郵便の合併の必要性を含む日本郵政グループの組織、郵政グループ内における郵便局ネットワーク維持に要する費用負担、上乗せ規制のそれぞれの在り方の検討を図る旨を盛り込んだ法改正を行います」と掲げた。
自民公約「民営化法見直し」の実現を
過去の自民党の公約にも郵政事業は記されてきたが、今回、新鮮だったのは、「郵便局の新たな利活用を推進する議員連盟」(山口俊一会長)の郵政民営化法見直しPTが作成した法案内容が公約に明確に盛り込まれたことだ。
見直し法案は多くの関係者が見守る中で議論され、特に3社体制については、会社組織として役職という活躍の舞台が絞られてしまう弊害も指摘された。
目に見えない厚い壁が立ちはだかり、いったん、進めなくなっている状況も垣間見えた。
これまでの政権は、選挙後に高支持率を得て、時がたつにつれて下がっていく傾向だったが、石破政権は選挙から少し経過した今を起点に一歩一歩、逆のカーブを目指してほしい。
厳しい道のりの中でのし上がるために必要なことは、公約に掲げたテーマ「暮らしを守る」「国を守り、国民を守る」「未来を守る」「地方を守る」「新たな時代を切り拓く」の実現に違いない。
そのための防災も、防犯も、地方創生も、教育も、新ビジネスも「郵便局ネットワーク」を拠点にあらゆる団体が共創し、裾野を広げていくことで日本中の〝地域〟を守っていける。
まずは見直し法案の党内合意を急ぎ、議員立法として成立させるために超党派での議論に進むことが待ち望まれている。12年前の改正郵政民営化法は各党から郵政改革特別委員を1~2人選出し、超党派による数名での議論が進められた。
今回の衆院選では当時、法案成立まで苦労を分かち合った各党の委員たちも、返り咲きを含めて当選を果たしている。見直し法案を成立させる機運到来だ。
審議は、もはや待ったなし、といえよう。