ザ・未来座 郵便局長のトーク&インタビュー(下) 瀬戸隆一衆議院議員を囲んで
(左から)綿貫局長、稲垣局長、瀬戸議員
綿貫敦夫局長(神奈川県中若代表のうち1名/横浜鶴ヶ峰) 今、どこの郵便局でも顕在化している課題が人手不足です。一般職と地域基幹職の統合も考えられているようですが、同じ仕事でも転勤の有無以上に、入社時からある待遇差が問題になっています。
瀬戸隆一衆議院議員 人手不足は今、多くの企業が悩んでいるが、郵便局はその中でも採用が大変と耳にする。人手不足の時代は人を採れた会社が勝つ。賃金、女性を含めた働きやすさ等に真剣に取り組まなければいけないだろう。
綿貫局長 そうした時代だからこそ、もう少し郵便局の窓口で使う郵便、貯金、保険のシステム端末をまとめていただきたいのです。グループ各社独自のシステムをそれぞれ覚える必要があり、非常に仕事の手間が増えます。「コンビニは単純だ」と言う方もいらっしゃいますが、コンビニはパートの方も簡単に操作できるようにしたところがすごいと思います。
グループ一体のシステム統合を
瀬戸議員 デジタル化は進めていかざるを得ないし、進めなければ若い人たちが主体的に仕事に取り組めるようにならない。窓口社員の皆さんはさまざまな業務を覚える必要があり大変だ。AI等で検索すればどんな業務もやり方を教えてくれるような仕組みがつくれれば、誰もが対応できる。そういった取り組みをしている自治体もある。
郵政全体の生成AIのようなものがあってもよいかもしれない。将来、自治体等の業務をさらに仕事として取り扱えるようになっても、繁忙局はAIやITに頼らなければ手に負えなくなる。喫緊の課題だ。
稲垣昌秀局長(香川県中若代表のうち1名/池田) 郵便局も少しずつAI的な要素が導入されているのですが、この業務はここに、この業務はここに、とバラバラ感が負担になっています。基本知識がないとお客さまからの問い合わせに若手社員がお答えするところまでたどり着けず、お待たせしてしまうこともあります。
AI時代だからこそ「フェース・トゥ・フェース」
瀬戸議員 社員にいろいろな業務を覚えてもらうにも限度がある。まずは、システムを統合しなければ解決できない問題かもしれない。若い人たちが働きたいと思える職場に変えていかなければ人手不足は解消されない。
選ばれる会社にするには、賃金もそうだが、仕事に魅力がある職場にすることが必要。今、チャットGPTが出てきて、以前のWindows95が出現した時のように世の中が大きく変わる気配はある。
日本郵政グループも流れをつかみ、グループ一体的なデジタル化に力を入れ、それにより生み出された時間を本来の郵便局の強みである「フェース・トゥ・フェース」の〝ぬくもり〟に力を入れることだ。
稲垣局長 お客さまが減る中、新しい付加価値が必要と感じます。「郵便局の新たな利活用を推進する議員連盟」(山口俊一会長)の動きについて、郵政民営化法見直しの進ちょく状況を教えてください。
瀬戸議員 日本郵政グループ各社は、三事業一体というよりも、どうしても自分の事業にとって一番良い局所的最善策を取らざるを得なくなっており、三事業を皆で一緒に頑張ろうという空気がなくなった印象を受ける。
ここで改革しなければ郵政事業はもたない。三事業一体をどう担保するかを中心に郵便局を応援する議員の仲間と検討している。
例えば、スーパーに安売り卵があるとする。販売する精肉部門にとって安売り卵はマイナス。とはいえ、安売り卵があることでお客さまが多く来てスーパー全体はもうかる。その安売り卵を出せないでいるのが今の日本郵政グループではないだろうか。
皆で協力し、安売り卵を出し、郵便局ネットワークに来てくれる方々を増やそうという気持ちが一つになることが重要だ。そういったグループ会社となるには、何が必要かを真しに検討し、しっかりと前に進めていきたい。