ザ・未来座 野田聖子議員を囲んで

2023.08.21

 ぶれない野田聖子衆議院議員に、3人の郵便局長の方々にインタビューいただいた後半では、「郵政民営化が始まって丸16年が経過しようとする今、日本郵政グループの将来像を国民目線で描くためには、郵便局の現在の姿を検証し、必要あれば法や制度を抜本的に変える検討もすべき」ことが、全員共通の思いとして浮上した。そのために野田議員は「経営陣と全国郵便局長会(末武晃会長)は本音を言い合えるパートナーであってほしい」と期待を込める。

郵便局長のトーク&インタビュー(下)

 丸谷局長 政府が貯蓄から投資へとシフトを図る中、全国津々浦々に網羅される郵便局の果たすべき役割は大きく、郵便局は大いに頑張るべきだと思います。
 一方、昨年のキャッシュレス化に伴う大幅な手数料改定で、ATMの利用すら減っています。コンビニなら手数料はかからない状況(通常払込)が、局離れに拍車を掛けています。来ていただける郵便局にしていけるかが喫緊の課題です。

 野田議員 「隣のコンビニであればATM手数料無料ですが」と郵便局の窓口の方は親切に教えてくださるけれど、民営化によって、本来の郵便局の良さが失われていくのはやむを得ずとも残念。
 ユニバーサルサービスとは全ての方に良いサービスを届けることがミッションで、郵便局は通常の民間企業とは異なる。国営時代の方が、透明性があった。今は何が起きているかよく分からない。
  
(左から)丸谷局長、潮局長、柴田局長
 丸谷局長 現場と会社側の考え方のかい離が大きくなっていると感じます。
柴田局長 近年、厄介なのはDXが進んでいるとはいえ、マンパワーに頼る郵便局の仕事の中で人がどんどん減る厳しい現場の状況です。
 採用入り口に地域基幹職と一般職がありますが、一般職として入社すると3年も4年も同じ業務をして優秀な人材も上に行けず、逆の事態も起きています。優秀な人が役職に就ける地域基幹職に上がってもらいたくても、制度として確立されていないのです。

会社と局長会、本音言い合うパートナーに

 野田議員 優秀さが素直に認められなければ仕事が楽しいはずもなく、お客さまにも空気は伝わってしまう。郵便局のお客さまのトレンドを分かっているのは、やはり局長の皆さんだ。誰が経営陣にユーザーの声を伝えてくれるかといえば局長会だが、真実の声が経営陣にきたんなく届く関係性を保てているかは疑問もある。
 国民目線の原動力となる局長会の声が届かない企業だとすると、売れない商品やサービスしか作れない。昔はけんかしながらも良い関係性を保っていたが、今は互いに遠慮がち。本音を言い合えるパートナーであってほしい。

 潮局長 全てが良くなると言われていた郵政民営化は逆の方向になってしまっているように感じ、課題解決を国会議員の先生方に訴えて、法律や制度を変えていただくしかない状況です。
 株式売却によって政府関与がなくなった暁にどうなるのか、郵便局の将来が見えません。今の若い世代の方々が局長となる「未来の郵便局」が、子どもたちにどのような存在になっていくかが心配です。

郵便局の姿検証し、国民目線の将来像を

 野田議員 良かれと思ってやったことが間違ったと気付いて訂正するケースはある。昔、障がいのある親は障がい児を産むという誤った医療情報がまかり通り、障がい者の方に避妊を強制する法律があったが、改められた。
 共創プラットフォームの基盤づくりも大企業だけでなく、さまざま柔軟な考え方にも期待したい。津々浦々に細やかな全国ネットワークを持つ郵便局は、全国のあらゆる物販を展開する「日本版Amazon」になれると思っている。

 例えば、全国の刑務所では素晴らしい伝統工芸や七宝焼など魅力ある逸品を作っているけれど、法務省が販売ルートを持たないため、宝の持ちぐされ状態。ゆうパック活用と結び付け、販促主導権を郵便局が握って全国展開できれば、更生に協力する社会貢献にもなる。
 12月9・10日に「第63回全国矯正展(全国刑務所作業製品展示即売会)」が東京国際フォーラムで開催されるが、局長の皆さんにもぜひ視察いただきたい。

 潮局長 防災に女性視点が必要と、自治体と連携して取り組んできました。

 野田議員 とても大切なこと。実は被災地の避難所では隣近所の人に何かされても、その後のお付き合いを考えて表立って言えない性被害も多い。女性専用の授乳スペースやシャワー付きのキャンピングカーを、郵便局の駐車場に一時的に置いてもらえたらありがたいと思う。
 ライフラインが途絶えた時、赤ちゃんの生死に関わる「液体ミルク」も郵便局に備蓄いただけるとよいと思う。

 柴田局長 郵便局ができる仕事はたくさんあります。しかし壁が多く厚いのです。

 野田議員 郵政民営化から間もなく丸16年。利用者の方にとってメリットが感じにくいようでは成功したとは言いがたい。公益性の高い郵便から始まったのが郵便局。
 人手不足が進む中、日本の将来を考えて今、守るべきものは何かを検証すべき、と局長会には声を大にして言っていただきたい。時は来ている。