インタビュー 地方公共団体情報システム機構 岡航平参事
地方公共団体情報システム機構(J-LIS)は自治体や国と連携し、誰一人取り残さない人に優しいデジタル化の実現を目指している。同機構情報化支援戦略部の岡航平参事は「自治体は、現在国会審議中のマイナンバーカード申請受付・交付事務の郵便局への委託を積極的に検討いただきたい。ほぼ全国民への普及に向けて申請機会の充実は非常に重要なことだ」と語る。
マイナ普及に郵便局連携は必須
――地方公共団体情報システム機構は、どのようなことをされる組織ですか。
岡参事 機構は自治体と国が共同で管理する法人として、マイナンバーカード関連システムの運用をはじめ、コンビニ交付サービス等における「自治体基盤クラウドシステム」の導入、郵便局での電子証明書の発行、運転免許証や在留カードとマイナカードの一体化などにより、地域住民の利便性向上に努めている。
マイナカードはさまざまな場面で本人確認に利用できるデジタル社会のパスポートだ。カードに搭載される公的個人認証サービスは電子的に誰もが安全に使うことができる認証手段であり、機構は認証手続きにおける信用の基点としての役割を担っている。
――郵便局は企業として唯一、マイナカードの「電子証明書の発行・更新手続き」ができますが、その意義を教えてください。
岡参事 カード保有者が税の申告や行政手続きを行う際には、電子証明書を用いることにより、オンラインでどこからでも安全な本人確認を行えるが、電子証明書は5年に一度更新が必要となっている。電子証明書の発行・更新は、対面での本人確認が必要であり、市町村の窓口か委託を受けた郵便局においてのみ行うことができる。
2022(令和4)年度末時点で、郵便局に電子証明書関連事務の委託を開始した自治体は宮崎県都城市、福島県南相馬市、宮崎県西都市、茨城県石岡市、神奈川県平塚市、宮崎県宮崎市、静岡県裾野市(開始順)の7自治体で12局が受託している。
カード取得者が人口の約7割にまで迫っており、必然的に電子証明書の更新が増える中で、委託を検討中の自治体も増えてきているが、今後訪れる更新ピークに向けて、自治体においては計画的な検討が必要である。
昨年度、携帯電話ショップのない自治体において、国が郵便局に委託し、マイナカード申請サポートの事業が実施され、多くの自治体で郵便局とのつながりができた。
こうしたつながりも活用して、自治体においては、電子証明書関連事務はもとより、現在国会審議中のカード申請受付・交付事務の郵便局への委託を積極的に検討いただきたい。郵便局は全国津々浦々にあるため、ほぼ全国民への普及に向けて申請機会の充実は非常に重要なことだ。
――マイナカードによって暮らしはどう変わっていくのですか。
岡参事 この1年で、カードの普及は爆発的に進み、さらに、今年5月(予定)には、認証手続きに用いる電子証明書のスマートフォンへの搭載が開始され、より気軽にカードを持ち歩く環境が整う。
民間も行政も、このツールを活用しない手はない状況となっており、カードを使ったさまざまなサービスが提供されていくことにより、住民の皆さんに利便性を実感していただけるシーンが今後ますます増えていくと思う。