続・続 郵便局ネットワークの将来像㉑
東京都八王子市は1月中にも八王子長房局、八王子中野局、八王子南大沢五局の3局にキオスク端末と行政証明書自動交付機を設置し、運営を開始する。3局周辺地域は高齢化率が高く、毎年、課税証明書の提出が必要になる都営住宅付近。マイナンバーカード普及率70%を超えた同市として、カードを保有する高齢者の方などを郵便局がサポートできるよう、12月の市議会でキオスク端末設置代を市の2022(令和4)年度補正予算に計上した。設置局を決めた12月20日、市と郵便局は改めてマイナカードに関する意見交換を行った。
キオスク端末ある郵便局に
石森孝志八王子市長 2019(令和元)年3月に郵便局と包括連携協定を締結して以降、さまざまな市政に尽力いただいていることに感謝したい。マイナカードも普及が波に乗ってきたが、もう少し市民の皆さんに持つことのメリットを説明しなければいけない。その辺りも郵便局の方々にお願いさせていただきたい。
福嶋浩之主幹統括局長(全特副会長/東京会会長/八王子並木町) 予算を取っていただいた市長の英断に感謝申し上げたい。キオスク端末はマイナカードを持たなければ使えないため、普及促進に直結する。松本剛明総務大臣が先般、交付も郵便局でできるよう法改正の意向も示された。マイナカードで連携できることはどんどんやらせていただきたい。
石森市長 今朝もずいぶん市民の方が市役所にいらしてた。
(八王子市独自の3000円分マイナポイントの申込期限は国と同じ2月末だが、マイナカードは申請から交付まで約2カ月かかるため、12月中に申請手続きをとらなければ国と市の両ポイント獲得に間に合わないと市民が殺到)
福嶋局長 全ての郵便局に総務省からマイナポイント端末が設置され、暗証番号を入れると国の2万ポイントの手続きができる。市のポイント申し込みもそれでできると利便性は高まる。
八王子市 それができるか否かを確認中。ポイント手続きも市民1人に係る時間が市の分だけで5~10分。国と市の両ポイントの場合は1人20分かかる。
福嶋局長 歯医者窓口でマイナカードを置くと顔認証ができるようになった。
八王子市 健康保険証とのひも付けができている医療機関と薬局合わせて、昨年11月末時点で全国36%。八王子市は約30%、薬局は6割まで進んだ。電子カルテを入れている病院はよいが、開業医の先生などは手書きでカルテを作る方も多く、ハードルも高いようだ。
福嶋局長 電子カルテも一元化され、病歴などが分かれば救命救急にも役立つ。マイナカードを持った方が実は〝安全〟とアピールできると良いと思う。
〝人に聞ける〟ぬくもり発信
キオスク端末は昨年10月、町田市内にあるグランベリーパーク局にも市が資金を出す形で設置された。グランベリーパーク局では2月から市の「母子健康手帳の交付」「各種申請書の受付」と付随する業務受託を開始する。12月13日の市議会で報告され、「広報まちだ」12月15日号でも紹介された。若者でにぎわう町だが、若者が住みやすい町も目指している。
三瓶綾子局長は「一昨年、市と東急が進める『まちづくりプロジェクト』の一環で、パーク内にあった市の連絡所(支所)の閉鎖が決まり、市からキオスク端末設置と事務受託の要望をいただいた。東京支社(木下範子支社長)で地方創生を担当する青木孝之担当部長らが市と調整され、実現に至った」と話す。東京圏も昨年、人口が1975(昭和50)年以降で初めて減少に転じた。
コンビニ型の大型キオスク端末
重層的な国の支援
2021(令和3)年度補正予算に計上され、昨年9月から青森県五所川原市・石川県加賀市・神奈川県小田原市の郵便局で実証実験が行われた「郵便局型キオスク端末」は従来のコンビニ型より小型。局に窓口があり、印刷物を取り出し、支払いもできるため、決済機能や印刷機能等必要のない部分をコンパクトにし、価格を安くしている。
郵便局型キオスク端末
総務省郵政行政部企画課の芥唯一郎監理官は「自治体が積極的に資金を出した永平寺町、八王子市や町田市などのコンビニ型は全国でも数例しかない先進事例。キオスク端末設置が進まない背景に自治体の費用負担の問題が大きかったと思う。
2022(令和4)年度第2次補正予算でコンビニの店舗のない自治体を中心に国が補助するキオスク端末、さらに2023(令和5)年度の地方財政措置として国が支援する郵便局のキオスク端末は小型。実証実験の郵便局型キオスク端末を実装する時の費用を国が支援するパッケージだ」と語る。
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マイナちゃんはシロウサギの妖精。目や耳が「1」になっているのはマイナンバーが1人に一つのためで、1を手に持つのは、マイナンバーを大事にしていただきたい願いを込めている。うさぎ年の今年、全国津々浦々をマイナちゃんで埋め尽くす縁の下の力持ちに郵便局がなっていきそうだ。