協業サービスのプラットフォーム④ 保健評論家・保険アナリスト 山野井良民氏
2022.08.04
四半世紀前に保険業法上の自由化に踏み切った他の生損保会社の今の動向を見れば、郵便局の協業ネットワーク拡大の必要性が理解できよう。例えば、第一生命は単独で銀行業務に参入し、損保ジャパンとの協業を含め生損保・金融フルラインのサービスミックスを展開する。
金融フルラインの時代に
代理店レベルでは、地銀の保険窓販に対して保険代理店最大手の「ほけんの窓口」が専用システムの提供と窓販募集要員の派遣をセットで協業している。
デジタル面では、契約者の腕に付けたウェアラブル端末から送られる運動量で保険料を割り引く住友生命のIOT型生命保険が好評で、大手損保ではドライブレコーダーに記録される運転特性に応じて自動車保険料が変動するテレマティクス型自動車保険を各社導入している。また、東京海上は代理店のオンライン販売を可能とする独自の代理店システムを構築した。
郵政グループ内でコストをかけてこれらと競合する商品やシステムを構築するのは、費用対効果と即効性を勘案すれば、ナンセンスと言わざるを得ない。
保険料の高い民間保険に入れない社会的弱者のために、国が小口・無診査の保険を行ったのが簡易保険の始まりだ。かんぽ生命が引き受け困難なものは、他の民間保険を活用しながら、やがて将来はM&Aによって日本郵政グループ傘下に入る国内外の保険会社が出てくるだろう。