かんぽ生命株主総会 再生へ、お客さま体験価値を最優先
6月15日に行われたかんぽ生命第16回定時株主総会で、議長を務めた千田哲也取締役兼代表執行役社長は「お客さまから真に信頼され、生命保険会社として本来あるべき姿に再生することを目指すと同時に、お客さま体験価値を最優先とするビジネスモデルへ転換し、持続的に成長していきたい」と強調。「2022(令和4)年度は日本郵便からコンサルタントを受け入れ、ご提案からアフターフォローまで継続的に対応する『お客さま担当制』を開始。ビジネスモデルを変革する第一歩として非常に重要な一年だ。お客さまの信頼・満足を基点とし、フロントラインに寄り添った適正なマネジメントを定着させ、社会情勢を敏感に捉え進化し続けるという世界観を全社で共有し、企業価値の向上を目指す」と意欲を示した。
2000万件超の保有契約目指す
保険サービスの充実については、「22年4月から、低廉な保険料で充実した医療保障を提供できる新医療特約を販売しており、多くのお客さまに手厚い医療保障を付けてご加入いただいている。人生100年時代におけるあらゆる世代のお客さまのニーズにお応えしていく」と語った。
ESG投資については引き続き全資産を対象とし、投資判断にESGの要素を考慮。リアルとデジタルの融合でサービスの充実を図り、中期経営計画最終の25年度に2000万件以上の保有契約を確保し、長期的な増加に転じさせることを目指す。22年度の株主還元は1株当たり配当92円とする予定。
千田社長は「経営陣と社員が将来のビジョンを共有し、一人一人が働きがいを感じながら成長する企業を目指す。企業風土・働き方改革、ガバナンス強化に取り組み、持続的な企業価値の向上を実現し、株主の皆さまのご期待にお応えしていく」と意気込みを見せた。
監査委員長(当時)の斎藤保社外取締役が「業務改善計画を推進し、再発防止およびお客さまの信頼回復に向けて取り組んでいることを確認しているが、今後も改善状況を継続的に注視していく」と報告した。
株主の「新しいかんぽの営業体制で他社より優れている点は」との質問に対し、千田社長は「郵便局ブランドを生かしつつ、デジタルの力も活用することで他社にはない強みを持った営業チャネルが構築できる」と説明した。
「新型コロナ感染者への保障の状況は」には、「感染された方に可能な限りのことをさせていただきたい。一日1万件近くのご請求があり、全力を挙げて対応している」と答えた。
「アフラックとの競合は」には、「アフラック様とは販売や営業で協力するだけでなく、共同でベンチャー系企業との協業を目指す『アクセラレーションプログラム』も開始しており、ウィンウィンの関係だ」と述べた。
「日本郵政グループとしてのビジョンは」には、 日本郵政社長の増田寬也取締役が「郵便・物流に加え、金融2社の おける役割を果たすことで、グループ全体の企業価値の向上を目指す」と展望した。
新任含む取締役10人が選任された。株主からは事前質問が3問、会場での質問が8問あった。ライブ配信も行われ、総視聴数は528人、同時最高視聴者数は313人だった。