日本郵便×佐川急便が共創
チルド(冷蔵)は可能でも、クール(冷凍)便配送に弱かった「ゆうパック」が来年1月から段階的に強くなる。
宅配便業界3位の日本郵便と2位の佐川急便が9月10日、物流サービス協業に基本合意。大型荷物が得意の佐川急便もポストインできる小型荷物に強くなる。両社が補完し合うことで成長著しいECの荷物獲得を強化し、CO2削減にも寄与する持続可能な社会の実現へ、幅広な「共創プラットフォーム」の構築を目指す。
来年から〝冷凍ゆうパック〟も!
協業は①顧客に対面せずにポスト投函できる小型宅配便「ゆうパケット」活用のサービスを佐川急便も取り扱う(11月以降)。配送網は日本郵便②EMSを活用したサービスを佐川急便も扱う(10月以降)。EMSの配送網③ゆうパックの保冷品配送サービスの一部を佐川急便で扱う(来年1月以降)――の3点をとっかかりに、シナジー効果発揮をするためのワーキングチームを組成。新たなサービス開発、インフラ構築に向けた協議を開始する。共同配送や拠点間輸送で荷物を組み合わせる幹線輸送の共同運行など効率的な協業方法を検討する。
ゆうパケットの再燃目指す 共創で佐川は小型に強く
9月10日の記者会見で、日本郵便の衣川和秀社長は「日本郵便は大口のお客さまにサービスを提案する際、保冷をなかなか受けられないことでお断りされることも多かった。協業により、日本郵便で受けた後に役割を分担し、スムーズに配送できればお客さまの利便性も高まる。これまでも佐川さまとゆうメールを一緒にやっていただいてきたが、そうした延長線の中で補完し合う。保冷は当面、法人のお客さまへのサービス展開。郵便局窓口で個人のお客さま対象に扱う〝チルドゆうパック〟等は別枠で進める」と語った。
佐川急便の本村正秀社長は「佐川急便は全国に428営業所を持ち、比較的大型の冷凍・冷蔵設備を備えている。約2万7000台の車両のうち約1万5000台の小型トラックはほとんどが3温度帯(常温・冷蔵・冷凍)対応の冷蔵庫、冷凍庫を備える。品質を落とさず対応できる。一方、近年はECが急速に増える中、お客からはポスト投函できる小型宅配便の要望が増えてきたが、我々はポストインサービス商品をそろえていなかった。両社が無駄な投資をせずに補完し合い、新たなサービスが展開できる」と展望した。
会見には日本郵便の田中豊執行役員、佐川急便の中川和浩取締役も出席した。