太田定良 全特郵便局長会理事インタビュー
全国郵便局長会(勝又一明会長)の太田定良理事(東京地方郵便局長会会長/六月町)と小倉雄二理事(中国地方郵便局長会会長/下関中土居)の共通する思いは「郵政民営化法等の一部を改正する法律案」の成立だ。その根底には、郵便局を地域にお住まいの方のための生活基盤、拠点としたい熱い想いがある。
対話重ね団結!結集力強き東京を
――世界的な大都市である東京ですが、今秋は島しょ地区の八丈島が豪雨に見舞われました。防災活動も含め組織強化や団結のために取り組まれていることを教えてください。
太田理事 東京は都心部というイメージが先行するが、住宅街もあればクマが出没する中山間地、飛行場がないため船で3~4日移動にかかる島もある。大島、八丈島、青ヶ島などの伊豆諸島、小笠原諸島の父島にある郵便局20局程で島しょ地区郵便局長会を作っているが、10月の記録的な豪雨災害時には、局長たちの努力で業務を止めることがなかったと聞き、感銘を受けている。
それ以外の地域でも各地区郵便局長会の会長が皆しっかりとマネジメントしており、実に頼もしい。ただ、地域性が異なり過ぎて互いが理解し合うことが難しく、結集力をさらに高めなければいけない。部会長セミナーや新任局長フォローアップセミナー、中堅若手局長の交流会等々に東京地方郵便局長会の三役で手分けして出席し、対面での意見交換に注力している。私も現場の率直な意見を聞き、こちら側の思いもしっかりと伝え、「風通しの良い組織」として、団結力をより高めることを意識している。
――都心部での地域貢献の在り方とは。
太田理事 多様性に富む地域の中で地域貢献のやり方も様々だが、どのような活動を行ったらよいのかを特に都心部の若手局長から悩む声を耳にする。近年はお客さまの半数以上が外国人と窓口の対応に苦労する局もある中で、町会や消防団に入ったり、祭りの実行委員を担うなど工夫を凝らし、地域に貢献する努力を積み重ねている。
東京は高齢化率が4~5割と全国で最も高齢化が進んでいる。セキュリティのために住民以外の出入りが制限されるタワーマンションや、独居老人の方も多く住んでおられる都営・区営の住宅もある。行政も当然対策を講じているが、夜間人口がゼロの地域もあり、東京都内の郵便局がどう地域に貢献し、拠点としての価値を高めていけるかは大きな課題である。
――都心部では地方公共団体との連携も難しさがあるようにも思えますが。
太田理事 包括連携は23区ではまだ少ないが多摩地域の市町村では広がってきた。また、郵便局でのマイナンバーカード関連事務の取り扱いも昨年4月に足立区内20局で開始し、現在までの取扱い件数は1万件を超えた。ご高齢の方が喜んで来局されている。
区議や市議の先生方との連携も密にし、都議会は例年、郵便局に予算の要望も聞いてくださる。八王子市では都の予算で置き配バックのOKIPPAの試行が2023年に実施された。
――「郵政民営化法等の一部を改正する法律案」については。
太田理事 郵便、貯金、保険の三事業一体的に仕事ができる体制とすることはこれからの郵便局の利活用を図っていく上で非常に重要。まずは改正法案を何としても成立させていただきたい。国会で審議されることにより三社一体の必要性を、改めて国会議員の先生方に認識していただける極めて重要な法案だと思う。