JPメディアダイレクト 丸ごと受託でビッグビジネス  

2025.12.07

 高市政権が官民連携等による「強い経済の実現」に向けて地方公共団体向け交付金拡充やコメ高騰対策としてクーポン券配布等も検討する中、JPメディアダイレクト(佐野公紀代表取締役CEO、以下JPMD)が郵便局と営業連携し、地公体向けに受託業務を総合的に引き受けるビジネス「公共ソリューション」サービスが注目されている。  

 地公体の悩みに郵便局長の〝地域力〟を

  エリマネ局との連携第1弾は千葉県印旛地区連絡会(野平浩明統括局長/豊住)の石橋篤副統括局長(地公体担当/木下駅前)が印西市に提案した広報紙の市内ほぼ全世帯配布やその業務中の「空き家見守り」。人口減少等に伴う地公体の悩みごとを郵便局中心にグループで課題解決していく仕組みがビジネスとして本格的に動き出した。

 JPMDは日本郵便(51%)と電通グループ(49%)の共同出資で2008(平成20)年に設立。同社は郵便局長の〝地域力〟に期待をかけながら地公体業務を丸ごと受託できる仕組みを各支社に随時提案している。現在までに6支社(関東・南関東・東海・近畿・中国・九州)が仕組みを導入し、東京支社も準備を進めている。日頃から地公体との人間関係を築いている局長から地公体に「公共ソリューション」サービスメニューの内容を提案し、現在24案件が検討中。このほど印西市が初の成約案件としてスタートの幕が開けた。

第1弾印西市、広報紙や空き家見守り
地公体内各課の課題一気通貫解決へ

 JPMDの「公共ソリューション」は業務支援に関する企画、制作、配達、問い合わせ等を一括受託するサービス。多くの郵便局で行ってきた窓口販売のみならず、その前工程も後工程もサービス提供することが可能となる。JPMDは郵便局と営業連携して、地公体の事業を丸ごと請け負う仕組みとして、一定案件の成約ごとに紹介手数料を郵便局に支払うスキームを構築した。
 業務の川上から川下まで総合的に請け負うため、成約時には数千万円から数億円規模になる。例えば1億円の場合、紹介手数料は2%でも200万円であり収入額は大きい。地公体と常日頃接点を持つ郵便局長の「地域力」を生かしつつ、地公体も支社も郵便局もウィンウィンウィンとなる。

 まずは、JPMDが支社を通じて現場の郵便局長から地公体に「公共ソリューション」サービスのメニュー内容を紹介。メニューには①広報紙やハザードマップ等の広報サービス②総合防災や感震ブレーカー、OKIPPA等の防災・環境支援サービス③プレミアム付き商品券等の一括配布(配達型)と店頭販売後方支援等の事務局サービス④給付金事業やおこめ券配布事業等の経済支援事業の事務局サービスの4本を柱とする。
 地公体の定例会議や首長や関係者と接触した郵便局長がJPMDのリーフレットやチラシでサービスを案内し、関心を示した地公体情報をJPMDや支社と共有。局長はさらに地公体とのアポイント調整や同行訪問を実施し、成約に向けて協力する。
 成約第1弾となった印西市の場合、長年、地公体を担当していた石橋局長が市に働きかけたことから始まった。石橋副統括局長は「地公体担当局長として月一回は地公体を訪問し、情報収集と郵便局が受託できる内容をお伝えする中で、市の広報紙の全世帯配布が難しくなってきたことを伺い、配達だけでなく、企画、制作、問い合わせ等も丸ごとJPMDが協力できます、と提案させていただいた」と話す。
 JPMDの佐野CEOは「地公体のさまざまな課題解決に向けて郵便局と連携し、地公体ビジネスを丸ごとお任せいただけるのが我々の強み。これまで郵便局が行なってきた地域貢献活動がビジネスとしても十分に成り立つと手応えを感じている」と喜びを語る。