地域の声を行政につなぐ 福島県北部地区 髙島邦貞会長(全特理事/東北地方会会長)

2022.03.20

 東日本大震災以降、北は青森から南は福島まで、沿岸地帯を中心に東北地方会だけでも延べ数百回、数千人の局長ががれきの片付けなど、さまざまなボランティア活動に従事してきた。

 震災の影響は津波被害と原発被害の大きく二つに分かれるが、津波被害の復旧は進んでも、原発事故の復旧は出口のないトンネルの中に入った状態が続く横ばい状態。福島県内の港も全て開業したものの、帰還困難地区や処理水など課題は山積している。
 放射能の影響は40~50年ともいわれ、風評被害も残る。福島県の一部が今後、どのように変わっていけるか、国はもちろんだが、自治体や地域としても長い目で対処しなければならない本筋の問題をはらんでいると思う。
 再開の見通しが立たない局もいまだ数局残っている。一般の方から見れば、昨年、10年が過ぎて一区切りで終息のように思われているかもしれないが、福島県の被災現場から見れば、まだ10年しかたっていないとの思いだ。それでも、これからどう新たな復旧の10年を創り上げていくかのステージに立っていると割り切って、前に進まなければならないのだろう。
 そうした中にあって、郵便局の役割は幅広い。会社の中期経営計画「JPビジョン2025」に「リアル×デジタル」が掲げられたが、浪江町では今、町内の移動を容易にするスマートモビリティや住宅確保を目的とした空き家バンクの開設、見守り等を進めており、郵便局もそのお手伝いをしている。
地域で問題となっている空き家対策も、郵便局長が自治体に働き掛けたものだ。
 今後も各地区が地域の要望を聞きながら継続して取り組むことが必要だし、局長会としても危機管理に継続的に取り組むことが重要だ。