インタビュー JPロジスティクス 安達章社長
日本郵政グループに参画して10年の節目を迎えるJPロジスティクスの安達章社長の目指す未来は、〝グループ連携〟によるシナジーだ。同社の得意な「特積み」×「ゆうパック」も将来構想として視野に入れている。国際物流の一貫体制も着々と構築し、「グループ全体が国際物流で成長できる可能性も高まっていると思う」と展望。また、「『将来この会社は光り輝く』と、若い社員の意見もどんどん取り入れ、時代の流れを先取りしたい。地域に根差すエリマネ局長の方々ともしっかり連携し、『郵便局のグループ』としての底力を発揮していきたい」と語る。
グループ連携で成功の起爆剤に
――国内BtoB業務が収益の9割を占めるとされる御社の沿革をお教えください。
安達社長 1938(昭和13)年の東播運輸㈱の創業からフットワークエクスプレス㈱、トールエクスプレスジャパン㈱に社名変更等の変遷を経て、2015(平成27)年に日本郵政グループの一員となった。
18年に日本郵便とトールが出資したJPトールロジスティクス㈱が発足。23年にJPトールロジスティクス㈱とトールエクスプレスジャパン㈱が統合し、日本郵便100%子会社のJPロジスティクスグループ㈱と、その100%子会社のJPロジスティクス㈱が誕生し、24年に私が両社の社長に就任させていただいた。
社名にJPの冠をいただき、「郵便局のグループ」としてのブランド力に感謝している。現在、関東から九州に78拠点を構え、2500台超のトラックを持つ。拠点のないエリアは協力会社と連携し、全国ネットワークを構築している。
お客さまによっては、日本郵便と当社がそれぞれ集荷に行くと「同じグループだから1台で来れば?」と言われることもある。
当社の得意な大型荷物を運ぶ「特積み」(特別積合せ貨物運送。不特定多数の企業から出荷される荷物をトラックにまとめて積載)と、ゆうパックとのシナジーを発揮できれば理想的だが、課題の一つにシステム面の統合がある(ゆうパックと当社の送り状番号の桁数が異なる等)。それらをクリアできれば、もっとお客さまに喜んでいただけるサービスをご提供できる。
――さらに連携を深めることで、日本郵便の国際物流事業が急成長できるようにも感じます。
安達社長 例えば、外資系企業のお客さまは基本的には英語での契約になるが、日本郵便では日本語の契約のみとなるため、当社が間に入り、英語契約を行っている。
すでにアメリカの携帯電話会社やスペインのアパレル会社と当社が間に入り、ゆうパックをご利用いただいている。このように当社が窓口を担うことで、日本郵便の国内物流や国際物流の起爆剤になれると思う。
23年12月には、旧成田国際空港郵便局の一画を当社が借り、「保税蔵置所」に認可され、海外の荷物の通関体制を構築した。昨年11月にJPロジスティクスグループの子会社となったJPライネックス南海パーセルは、関西国際空港内に保税蔵置所を持ち通関できるため、成長の著しい東南アジア等の一貫物流体制も構築できた。
また、日本郵政グループのトールは東南アジアやオーストラリアに拠点を持ち、成長著しい地域に強い。グループ会社になったことで世界の中でカバーできる範囲は大きく広がったが、トールは日本の拠点がないため、これまで日本市場と海外市場をつなぐ連携がうまく発揮できなかった。
今後、当社が日本拠点を担っていくことで、グループ全体が国際物流で成長できる可能性も高まっていると思う。
――御社の成功は日本郵便、グループの成功に直結しますね。
安達社長 ドライバー不足は物流業界全体の課題。解消に向けて日本郵便、日本郵便輸送、さらに西濃運輸さまと業務提携を結び、幹線輸送の協力等、安定した輸送を行うため定期的に協議を重ねている。
さらに、JPメディアダイレクトとも連携を図り、自治体へ防災事業等の提案も行っている。今後も日本郵便グループで、さらに連携を深めていきたい。
今年はグループの一員になって10年の節目。「将来この会社は光り輝く」と社員の皆さんに伝えている。若い社員の意見もどんどん取り入れ、時代の流れを先取りしたい。また、地域に根差すエリマネ局長の方々ともしっかり連携し、「郵便局のグループ」としての底力を発揮していきたい。