生きる!地域と 北海道剣淵町 〝絵本の里〟にご当地ポスト4本目

2024.09.19

 絵本によるロマンあふれる町づくりを進めている北海道剣淵町で、郵便局の存在感が増している。著名な絵本作家によるデザインポストが町内3カ所に設置され、北上川地区連絡会(山田敦久統括局長/朝日)剣渕局(羽田野由人局長)の飛び出す絵本型風景印は、開始前に海外を含む7000件超の押印依頼があった。心温かな〝絵本の里〟の皆さまに話を伺った。

絵本型風景印に郵頼7000件超


あべ弘士さんが子どもたちと町役場のポストに投函

 絵本がモチーフのご当地ポストは「ティラノサウルス」シリーズの宮西達也さん、「あらしのよるに」のあべ弘士さん、「ムーニャとほしのたね」の佐藤正人さんと、そうそうたるメンバーが担当した。
 絵本の館の森武渉副館長は「11月には4本目となるご当地ポストを当館に設置予定。郵便局のお力で絵本の里づくりを全国に発信していただき、感謝の思い」と顔をほころばせる。

 羽田野局長は9年前に剣渕局に着任以来、まちづくり推進協議会や絵本の里づくり実行委員会、防犯協会の一員を務めている。お祭りでは子ども向けのブースを出展し、サイクリングイベント「ぐるっとライド」では参加者にポストカードを作成・贈呈するなど、町づくりの一翼を担ってきた。
 「縁もゆかりもない土地だったが、家族で越して家を建て、町内をほぼ全戸訪問して心を通わせてきた。局ロビーで催した寄席には約100人が参加されて大好評。今では、身近なことまで相談いただける〝よろず相談所〟のようだ。早坂純夫町長からも期待をいただき、お応えしていきたい」と力を込める。
 町役場総務課の竹本拓矢主事は「デザインポストのほか、局の外壁には絵本の里のブランドマークやマンホールカードを取り付けていただき、大変ありがたい。町づくりにここまで関わっていただけるのは他ではできないこと」と称賛を寄せる。

 剣渕局の風景印は、町のキャラクター「ぷっちーな」や絵本の館などを描いたユニークな絵柄。デザインは町役場職員の方が担当した。羽田野局長は「中国、韓国、オーストラリアなど数カ国からも郵頼があった。押印作業やイベントのポストカードのデザインなど、社員たちの協力は大きい。11月の新ポスト設置を機に、さらに町の魅力を発信していきたい」と目を輝かせる。

髙橋議長と森武副館長

 絵本の里を創ろう会初代会長の髙橋毅町議会議長は「当初は絵本による町づくりに批判の声もあり、悲しい思いもした。その中、絵本の里にふさわしい素晴らしいポストを設置いただき、本当にうれしい。想いの込められた手紙が絵本の里の押印をされ、このポストから届けられるなんて、夢のようだ。郵便局の皆さま方に感謝は尽きない」と目を細める。
 けんぶち絵本の里づくり実行委員会主催の「けんぶち絵本の里大賞」(9月30日まで開催)は今年で第34回の歴史を刻んだ。絵本の里づくりを進める町と共に、郵便局が力となり、追い風となって全国に温かな心を広げている。