郵活連総会 民営化法見直し 山口会長「新しい資本主義」を

2024.06.12

 「郵便局の新たな利活用を推進する議員連盟」(山口俊一会長)は4月25日、東京・都市センターホテルで議連総会を開催した。衆参計168人の議員、代理合わせて約200人が、郵政民営化法の見直し原案5項目を議論。山口会長は「今の民営化法、このままでは大変なことになるとPTや役員会で1年1カ月検討を重ねた。未来に郵政事業をしっかりと残していけるよう、日本の基幹的なエッセンシャルワーカー(日常生活を維持するために不可欠な職業)として、これまで以上に役割を果たせるようにしたい。ある意味で私はこれが〝新しい資本主義〟だと確信する。ご協力を願いたい」と呼びかけた。

郵政はエッセンシャルワーカー
時代の変化が求める郵便局ネットワーク

 日本郵便の千田哲也社長、全国郵便局長会から末武晃会長をはじめ、森山真専務理事、地方会会長ら全特役員全員が見守る中、約1時間半の間に40人もの議員が手を挙げ、活発な議論が交わされた。大半の議員の問題意識として際立ったのは「時代の急速な変化」で浮き彫りになった郵便局ネットワーク維持の重要性だ。
 見直しに対する反論は皆無。原案は会長一任のもと了承された。郵活連は公明党や各野党にも議員立法としての共同提案を働きかけているが、5月中に「郵政事業に関する特命委員会」(森山裕委員長)と総務部会と合同部会を開催し、議論を深めた上で国会提出。6月23日会期末までの成立を目指す。
  

40人もの議員がかっ達な意見

 見直し法案の骨格5項目は①郵政三事業のほか、公的サービスを加え、郵便局の公的基盤としての位置付けを強化②郵便局ネットワーク維持や公的サービスができる環境整備のために日本郵政の基金のほか、政府の財政支援措置創設③日本郵政と日本郵便の統合、金融2社に対する日本郵政の持ち株比率の下限規制創設、日本郵政グループ内の連携強化、総務大臣による三事業の堅持への関与④金融2社の上乗せ規制の一部緩和⑤日本郵政に対する外資規制の導入の5本を柱とする。
 特に議員から賛同意見が多かったのは「財政措置の創設」と金融2社の「上乗せ規制緩和」だった。「今のかんぽ生命の状況から見ると、撤廃してもよいのではないか」との意見もあった。3社体制や金融2社の日本郵政持ち株比率下限規制創設にも反論はなかったもようだ。

 司会を務めた柘植芳文議連事務局長(写真上)は終了後の立ち会い会見で「民営化当時と何が変わったかといえば時代だ。企業として、もうける一点で代々の経営者の方々も頑張ってくれたが、郵政事業はやはり〝公的な使命〟を負って、社会貢献をベースに置かなければ、国民が納得してくれない状況下にある。フランスの公共サービスのような観点で郵便局も正式な立ち位置を持って、仕事としても地域に貢献でき、誇りを取り戻すことが見直し法案の目玉だ」などと強調した。
 総会で原案を説明した国定勇人議連事務局次長は「見直しそのものには賛同の嵐だった。多くの先生方から『政府が日本郵政株式の3分の1を持つことで配当収入が毎年政府に628億円入る。また、旧郵政省時代の旧郵便貯金の休眠貯金は国庫納付として政府に入るが、約5年間で1000億円弱ある。もともとは三事業で稼いだ資金のため、郵便局ネットワーク維持のために使うべき』との意見が挙がった。『地方の郵便局に焦点が当たっているが、一人暮らしが増える都市部の郵便局も大事』と東京の先生が話されていた」と語った。