最古の現役局舎でコンサートや結婚式

2024.02.13

 数々の歴史の舞台となってきた山口県下関市の中心部で、地域振興の力となっている山口県長南地区連絡会(小倉雄二統括局長/下関中土居)の下関南部町局(福嶋祐二局長)。敷地内にはカフェや中庭があり、コンサートや結婚式などを開催し、夜間はライトアップもされる同局は「日本最古の現役局舎」。その昔と今の物語を福嶋局長に伺った。

生きる!地域と 山口県下関南部町局


 1900(明治33)年築造の局舎は、れんが造りモルタル仕上げのルネサンス様式。国の登録有形文化財で、日本遺産「関門〝ノスタルジック〟海峡」の構成文化財にも登録された。
 その威容を見上げながら局の扉を開けると、天井は高く、広々としたロビーには資料展示コーナーもある。

 福嶋局長は「局内の柱は昔のまま。当時の名称は『赤間関郵便電信局』。1階で郵便、2階で電信の業務が行われていた。局舎の研究や観光で毎日のように来局者がある。先日はスイスのジュネーブからジャーナリストが来られた」と話す。

 特別に2階に上がらせていただくと、往時をしのばせる天井や床、重厚感のあるれんが壁などから、明治、大正、昭和を経て、時代をダイナミックに動かしてきた息吹を体感できた。
 福嶋局長は「太平洋戦争中の下関大空襲では奇跡的に無事だった。近隣に歴史的建造物が多く、市役所も間近だ。

市×地域×若者でコスプレや撮影会も

 地域一体で新たな取り組みをと、2017(平成29)年に旧英国領事館など6団体で『赤間ケ関レトロ賑わい倶楽部』を結成。昨秋には市や教育委員会の後援でレトロな建物での〝コスプレ〟やモデル撮影会を行い、大好評だった」と目を輝かせる。

 実は、丸ポストを考案した発明家・俵谷高七は下関に居住し、同局の郵便用具の制作に取り組み、「自動郵便切手葉書売下機」など画期的な発明品を生み出した。今も局前の丸ポストは人気の的で、「新撰しものせき誇り100選」に選出された。

 若い世代との交流も図り、大学生と連携した「関門海峡キャンドルナイト」を中庭などで開催し、「第14回下関市景観賞」を受賞。さらに驚いたのは〝郵便局での結婚式〟だ。

 福嶋局長は「当局で行う結婚式は別の会社が運営しているが、宗教色を出さない『シビルマリッジ(市民結婚式)』。市民の前で誓い、祝福される。局長が立ち会い、〝市民の代表の郵便局長〟として新郎新婦に『結婚証明書』をお渡ししてきた。この郵便局を地元の人はすごく愛してくれている。その思いに今後も応えていきたい」と力を込める。
 歴史的な強みを生かしつつ、市×地域×若者のコラボで道を切り開く同局の斬新な取り組みは、古き良き郵便局の新たな可能性を開くヒントになりそうだ。