「通年雇用」のイチゴハウス幕開け ABE HOLIC&郵便局

2024.12.20

 農業の不安定な季節雇用を「通年雇用」に転換を図るための「イチゴハウス」竣工式が11月20日、宇都宮市の㈱ABE HOLIC内(阿部梨園:阿部英生代表)で開催された。同じ敷地内で年2回生産物を育てる二期作や二毛作は田畑がやせ、良い生産物作りは難しかったが、梨で有名な㈱ABE HOLICは梨畑とは別にデリケートなイチゴ用に屋根付き専用畑を創設。疲弊する農業を根底から覆す先駆的な地方創生ビジネスとして期待されている。栃木県中部地区連絡会の鈴木秀治統括局長(宇都宮操町)が阿部代表に提案したことがきっかけとなった。

日本の農業担い手に道

 竣工式冒頭、阿部代表は「宇都宮操町局の鈴木局長から『農業の元気がなくなると郵便局も元気がなくなる。一緒に地方を盛り上げる事業を考えよう』と〝通年雇用〟を提案いただいたことを発端に、夏と秋が旬の梨と冬と春が旬のイチゴを組み合わせることで、通年雇用も選べる生産組織となった。梨だけでは通年雇用は10名だったが、今は20名まで増え、早速効果が見えている。わが社こだわりの〝直売〟を通じて地域交流の場となるよう努力していきたい」と意欲を示した。

 福田富一栃木県知事(写真上)は「県の主要品目イチゴと梨の複合経営に挑む阿部代表の英断に敬意を表す。雇用創出による地域活性化への貢献を願う」と期待を寄せた。

 佐藤栄一宇都宮市長(写真上)は「宇都宮市で農業に従事されている方の51%以上が70歳以上。経営が成り立つ農業の先頭に立って頑張ってほしい」と述べた。

郵便局長の提案が発端


 関東支社の丸山元彦支社長(写真上)は「ふるさと小包など、地域創生の観点でABE HOLICさまと郵便局は協力し合ってきた。ローカル共創イニシアティブの一環で人財も派遣させていただいている。日本の農業維持・発展に郵便局もお役に立たせていただきたい」と願いを込めた。

 黒岩伸一関東主幹統括局長(写真上、草津)は「雇用創出を目指す千葉県睦沢町のほしいも事業も、旬以外の期間にドライフルーツ販売等のさまざまなアイデアもあるが、通年雇用までは難しいと聞く。ABE HOLICさまの挑戦に感謝の思いで郵便局も関東、南関東、東京、信越、北海道の5支社約7000局でイチゴを販売させていただく。ぜひ広げていきたい」と語った。

 ゆうちょ銀行の月原健雄地域共創推進部長(写真上)は「仲間の雇用のために新規分野に挑まれる阿部代表にとって、イチゴハウス竣工は夢の第一歩。第二、第三に期待したい」と励ました。

 司会は、ローカル共創イニシアティブ第3期プロジェクトの一員としてABE HOLICに出向する日本郵政の小川潤マネジャー(写真上)が務めた。