改正法見直し 地域の最後の砦に

2023.12.09

 改正郵政民営化法の見直しに向けて、「郵便局の新たな利活用を推進する議員連盟」(山口俊一会長)の改正法見直しPTが衆議院法制局と調整を図る条文作成は進み、間もなくPTを超えて郵活連役員会に諮る段階までたどり着いた。ただ、最終局面で「地域の最後の砦」としての郵便局の立ち位置を明確化するために、「ユニバーサルサービスとは何か」との本質的な問題にぶつかり、条文上の表現で若干難航しているもようだ。

ユニバーサルサービスとは何か

 見直し法案の条文は総体的に文案としては、ほぼ整った。このままいけば来年1月に開会する通常国会に提出できる見通し。
 若干、関係者が悩んでいるのは、国が自治行政を維持するために、自治体が郵便局に業務を委託する際に支援できるようにする「公的サービス」の部分。難航を極めているのは、①公的サービスの表現方法②新しく追加する業務を郵便局全体が提供し得るようの郵便局の立ち位置をどのようにすべきか――の2点だ。
 郵便局が公的な業務を受託しやすくするためには、法的に郵便局の本来業務を公的なものと位置付けなければならないが、ユニバーサルサービスとは何かという極めて本質的な問題にぶつかり、その答えを明確化する法律の中身が求められてくる。
 現況の日本郵便株式会社法でも、郵便局は地域住民の利便の増進に資する業務が記され、「公的サービス」を一定程度提供できる規定になっている。

改正法見直し 通常国会提出目指す

 また、公的サービスの中核となる「公共サービス」も郵便局事務取扱法のもとで一応提供できるが、今もできる業務をどこまで郵便局の本来業務として引き寄せていけるのかが存在価値や意義と直結。津々浦々まで細やかにあることで、住民の暮らしを身近なところから守ることができる郵便局ネットワークの生命線を太くできるかが決まってくる。
 約2万4000局のネットワークを「地域の公的サービス最後の砦」としての機能を果たせるようにすることが、見直し法案の骨格の一つだが、そのためには郵便局を公的機関に近い立ち位置とする条文にしなければならない。
 しかし、地方に多い2名局や事実上の1名局もあり、期待される公的サービスを全て請け負うことが現実的には難しく、三事業と同様にユニバーサルサービスを義務の形で課してしまうと、請け負いきれないことも予測される。郵便局が社会的責務を果たすと同時に、受け入れられる許容度にも配慮する必要があり、法技術的な表現の調整が難しくなっている。
 それ以外の、持ち株会社の金融2社株式の一定程度の保有や、4社から3社体制(3社・4社の両案あり)の骨格は変わっていない。