インタビュー 日本郵政インフォメーションテクノロジー 雪野誠二社長

2023.02.26

 全国津々浦々の郵便局をはじめ、日本郵政グループ共有システムの運行監視を24時間365日行っている日本郵政インフォメーションテクノロジー。北陸支社長を経て、2019(令和元)年6月から〝グループ一体〟を象徴するシステム基盤を支える同社で指揮を執る雪野誠二社長は「結局は現場だ。システムも現場でうまく使ってもらえるかどうか。現場を常に念頭に置くことだ」と強調する。

システムも現場を常に念頭に

 ――社長就任から4年間を振り返られて、いかがでしょうか。
 雪野社長 最初の2年ほどは大規模なプロジェクトが目白押しだった。PNET(郵政総合情報通信ネットワーク)の6次構築があり、約10万5000台のパソコン(JPPC)の全国配備を10カ月で実施した。グループ共有システムを支える統合データセンターを茨城県と京都府に開設し、今後は日本郵便やゆうちょ銀行のコンピューターも移管する予定だ。

 ――日本郵政グループを統合する象徴的なネットワークですね。
 雪野社長 ある意味、グループのインフラといえる。2020(令和2)年には、全国の郵便局や主要4社の本社、支社、エリア本部、支店など約2万7000拠点のPNETのルーターの入れ替えや、人事・財務システムの大規模な基盤更改等が重なったが、社員たちが本当によく頑張ってくれた。関東支社の敷地内には、PNETとJPPCの監視業務を行うサテライトオフィスも新設し、リスク分散等も図ることもできた。
 現在、主要4社の各部門や子会社が保有する個別のシステムは約400に及ぶ。先日も子会社の方々から話を聞いたが、外部発注しているところも多く、運営上の課題や改善要望等のニーズは高い。ぜひ、弊社で力になっていければと思う。

 ――社員育成で取り組まれていることは。
 雪野社長 社員たちのやる気が起きなければ、育成も何もない。皆のモチベーションが上がるような環境づくりを心掛けている。一昨年7月からは「プロフッショナル認定制度」を導入した。年齢も役職も関係なく、専門スキルの高い人をこれまで17人認定し、彼らが講師を務める社内勉強会「JPiTアカデミー」を月3回程度開催している。難関のIT資格を取得した人への褒賞制度も作った。
新たな試みで、長野県松本市のソフトウェア開発会社に、希望した社員を1年間出向させたことでIT開発の能力が高まり、他の社員たちにもとても良い影響を与えてくれた。

 ――これまでの経歴やご自身の原点は。
 雪野社長 1980(昭和55)年に郵政省に入省し、20代後半は電電公社の民営化に向けて激務の日々だった。参議院法制局への出向を経験し、岩手県二戸局の郵便課長、愛知県蟹江局の局長、北陸支社長も務めさせていただいた。二戸局時代は「郵便局は事業を支える生産点だ」と教え込まれた。
 結局は現場だ。システムも、現場でうまく使ってもらえるかどうか。現場を常に念頭に置くことが、引いてはお客さまに良いサービスを提供することにつながる。