インタビュー 全国簡易郵便局連合会 小野寺伸王副会長
約2万4000の郵便局ネットワークにおいて、過疎地などでユニバーサルサービスを支える簡易局の存在は大きい。2020(令和2)年から全国簡易郵便局連合会副会長を務め、6月に再任された小野寺伸王副会長(北海道地方簡連会長/芦別渓水)は「簡易局における郵便・物流分野の装備近代化が最重要課題だ」と言葉に力を込める。
郵便・物流の装備近代化を
――社会のデジタル化が加速する中、簡易局の将来像についての議論はいかがですか。
小野寺副会長 現在、日本郵便との「意見交換会」を継続し、「おおむね5~10年先の簡易局の将来像」を会社と共通認識を持つべく、議論を進めている。簡易局が今後どうあるべきか将来像を描きながら、具体的に取り組んでいきたいと思う。
「JPビジョン2025」でデジタル郵便局とリアル店舗の融合によるDX戦略が打ち出されたが、簡易局における郵便・物流分野の装備は、簡易局制度開始当時とほぼ変わっていない。e発送サービスについて、一部のゆうプリタッチ試行局でテストされているのみだ。
以前の簡易局業務支援検討会のときに手数料から換算した業務の割合は、貯金:6、保険:3、郵便:1だったが、金利情勢から急速に変化している。郵便・物流の装備近代化が最重要課題だ。一方で、一時閉鎖対策として受託者変更時のフローの見直しや、希望する局へのキャッシュレス決済導入など成果も出てきている。
――北海道も人口減少が進み、簡易局の維持は大きな課題です。
小野寺副会長 北海道の一時閉鎖局は民営化時の水準に達している。人口減少もあり、解決は容易ではないが、引き続き意見交換会にて議論し、地域との連携も深めていく。私が住む芦別市では、ごみを廃棄する市指定専用袋や、し尿処理券販売業務を直営局と共に簡易局も市と契約して受託している。地域の方々を支え、地元を「元気にする」活動を今後も推進していきたい。
――これまで取り組まれたことや、今後の抱負をお願いします。
小野寺副会長 前職の銀行員を経て、2002(平成14)年1月から受託し、20年を迎えた。地方簡連事務局長時代には簡易局業務支援検討会の一員で委託手数料の仕組み作りに携わり、一昨年からは全簡連の企画制度担当として、巨額犯罪の解決と連帯保証制度の改善に努めてきた。
日本郵便、簡易局受託者、全簡連および全簡協は三位一体となって協力していくことが大切だ。過去の先人の知恵に学び、簡易局を愛する方々の知見に学び、簡易局の「在るべき姿」を求めていきたい。