新春インタビュー 日本郵便 衣川和秀社長
――郵便局の公益性と地域性をさらにビジネスに生かすには、どうすべきとお考えですか。
衣川社長 あけましておめでとうございます。まずは、社員の皆さまに常日頃の業務運行に尽力いただき、改めて、この場をお借りし御礼申し上げたい。
〝共創〟で、生活と人生支える郵便局に
郵便局の原点は〝地域と共に歩む〟こと。公益性と地域性という法律に定められた郵便局の役割を果たす地方創生の取り組みでは、昨年10月末時点で42道県と1184市町村との間で包括連携協定を締結できた。協定締結を機に地方公共団体との関係をさらに強化し、地域経済の活性化や安心・安全な暮らしの実現に向けた施策を実施することで、地域の発展・活性化や住民の方々の利便性向上を進め、郵便局と地域の共生を図っている。
また、近年の過疎化の進展や利用者の減少に伴い、地公体が支所を廃止するなど各地域でさまざま課題に、地域住民の方々の身近にある郵便局が行政手続き等によって住民の利便性向上に貢献できる。
例えば、住民票の写し等の公的証明書の交付やプレミアム付商品券の販売などの行政事務は昨年10月末時点で346団体から受託し、うち14団体からは公的証明書の交付に加え、国民年金関係の申請書の受け付けなどを含め、包括的に受託している。郵便局ネットワークを活用し、地公体から各種事務を受託することで地域住民の利便性向上に貢献していきたい。
――グループ中期経営計画「JPビジョン2025」で掲げられる「共創プラットフォーム」に、日本郵便としてどう取り組まれるのですか。
衣川社長 リアルチャネルとして、全国津々浦々に約2万4000カ所の郵便局ネットワークはお客さまとの大切な接点。日本郵政グループの最も根幹を成す資産だ。
「共創プラットフォーム」構想とは、郵便局ネットワークなどグループしか持たない極めてユニークな資産をプラットフォームとして捉え直し、さまざまな企業等の皆さまと積極的にコラボレーションしながら、新しい商品・サービスを創造することで、より便利・より安心・より快適・より豊かを提供し、日本中のお客さまの生活と人生を支えていく構想だ。
お客さまと地域を支える「共創プラットフォーム」構築によって事業を成長させ、社会になくてはならない存在であり続けることが、日本郵政グループの中期的なゴールと考えている。
――金融窓口は新しい営業体制になりますが、現場に伝えたいメッセージはありますか。
衣川社長 少子高齢化と長引く超低金利環境から生命保険のお客さまニーズは、かんぽの主力商品であった貯蓄性商品から保障性商品へ移り、多様化した。生保各社とも保障性商品を強化している。お客さま本位の業務運営を徹底し、多様化するお客さまニーズにお応えしなければならない。
そのために郵政グループ全体で真剣に検討し、コンサルタントと窓口社員が適切に役割分担する「新しいかんぽ営業体制」を構築し、それぞれの特長を最大限発揮する必要があるとの結論に至った。新しいかんぽ営業体制へ移行することでグループ全体として持続的な成長を目指していきたい。
新体制移行まで残り3カ月。万全の状態で移行に臨めるよう、日本郵便においては私が先頭に立って取り組み、移行後も日本郵便は継続してフォローを検討し、グループ一体の運営を行う。年始の業務繁忙は続いているが、〝お客さま〟と〝地域〟に寄り添う原点を肝に銘じ、共に頑張ってまいりましょう。