インタビュー JP投信 荒巻裕大社長
コロナ禍で将来や老後への不安が募る中、手軽に始められる「つみたてNISA」や「iDeCo(個人型確定拠出年金)」などが、若者を中心に幅広い世代で関心が高まっている。
投信会社の中で唯一「JP」を冠したJP投信の荒巻裕大社長は「将来に向けて、少しでも早く備えていただくことが必要な時代になってきた。その方々にお声を掛けていただく役を担えるのは、やはり郵便局が一番」と、投信の可能性と郵便局への大きな期待を語る。
投信の魅力、伝えるのは郵便局が一番
――御社の商品が表彰を受けたそうですね。
荒巻社長 ㈱格付投資情報センターが選定する「R&Iファンド大賞」で3年連続の受賞となった。弊社商品のパフォーマンスが客観的に認められたことをうれしく思う。
2015(平成27)年の会社設立から7年目。運用残高ゼロから始まったので、最初の3年ぐらいは厳しい経営を強いられたが、おかげさまで、今は約2800億円の投資を預かる。ゆうちょ銀行の投資信託預かり資産のうち1割強のシェア。社名に「JP」を冠していることでお客さまからの信頼も厚い。
――改めて、投信のメリットや魅力とは。
荒巻社長 これまでは、投資は資産家が行うものというイメージがあったが、それを一般の人でもできるようにしたのが投資信託。今はつみたてNISAなら、月々1000円から始められる。
例えば株に直接投資しようとすると、1銘柄で何十万円にもなり、しかも投資した会社がつぶれたら、株券は紙切れになってしまうことがある。安定的な運用を望むなら、分散投資をしなければならない。それができるのが投資信託。しかも、少額でできるのが魅力だ。
「自分は専門知識もお金も時間もない。投資なんてとても無理」という方もいるが、投資信託なら、運用はプロがやってくれる。将来に向けて、少しでも早く備えていただくことが必要な時代になってきた。
税制面で有利なつみたてNISAの対象ファンドをはじめ、弊社では低コスト、低リスクの商品をそろえている。今後もそこは貫いていきたい。
――コロナ禍の影響はいかがですか。
荒巻社長 投信の説明には時間がかかるため、感染対策で販売がやりにくくなっているのは事実だ。その中、電話やリモートで説明する仕組みもできてきた。将来に不安を抱かれる方や在宅勤務の方が多くなったこともあり、平日の日中にリモートや店舗でご相談をいただく機会も増えている。
まだまだ、投信を知らない方や踏み出せない方がたくさんいらっしゃるが、その方々にお声を掛けていただく役を担えるのは、やはり郵便局が一番。私はゆうちょ銀行時代に、郵便局向けの営業担当を5年ほどやらせていただいた。全国どこにでもあり、お客さまとの距離も近い郵便局への期待は大きい。
今や投信もネットでできる時代だが、どのファンドを買おうか、買ったファンドの運用がどうなっているのか等、投信取扱郵便局やゆうちょ銀行の店舗に来ていただいて説明を受けることがお客さまの安心につながる。ネットとリアルの良いところを掛け合わせた対応ができる。
今は、販売会社である郵便局、ゆうちょ銀行への販売サポートがメインだが、今後はセミナーの開催や金融教育の教材などのお手伝いも検討したい。
――ご自身の信条を教えてください。
荒巻社長 あまり派手に打ち上げるよりは、誠実にコツコツと。まさに投資と同じ(笑)。やるべきことをしっかりやっていきたい。