未来座 中若局長オンラインインタビュー いんどう周作議員を囲んで

2025.10.07

 7月の参議院選挙で全国郵便局長会(勝又一明会長)の組織内候補として初当選を果たしたいんどう周作参議院議員(写真㊥)に、中堅・若手の鈴木彦和局長(同㊨、北後志地区会/銭函)と松下宏光局長(同㊧、熊本県南部地区会/亀尾)がオンラインによるインタビューを行った。

あらゆる課題は同時並行で解決へ

 世界を見渡すと、ウクライナや中東の戦火、国内では異常気象による豪雨災害、急速に進む人口減少、高齢化が進む中での安全な暮らしの確保等々、日本は今さまざまな課題に覆い尽くされている。そうした中で存在価値が改めて際立ってきたのが、公的なイメージが強く、地域に長く根差す郵便局だ。
 いんどう周作参議院議員は、北海道地方会(会長=沼袋浩全特理事/芽室)の鈴木局長と九州地方会(会長=宮下民也全特副会長/熊本西原)の松下局長のオンラインインタビューに対し、「皆さまのご尽力で国政にお送りいただいた」と冒頭に感謝の意を表し、「地域ならではの〝困りごとを解決〟するサービスを地域の方々と一緒に郵便局を拠点に創り上げる必要がある」と仕組みづくりに意欲を示した。

郵便局拠点に三事業の枠を超えよう


 いんどう議員 お待たせしました。忙しい中、申し訳ありません。ご参加いただいたお二人にまずは感謝申し上げます。また、全国の皆さまにこのたび、国政に送っていただいたことに改めて感謝を申し上げます。48万2058票をしっかりと背負って6年間頑張ってまいります。本当にありがとうございます。ところで、お二人はご自宅からオンライン参加で?

 鈴木局長 はい、休みを取って自宅から参加しています。

 松下局長 私も自宅から、休みを取っての参加です。
 いんどう議員 そうでしたか。郵便局からオンラインでこのインタビューに参加することは、仕事の一環としてはまずいというご判断でしょうね。でも、郵便局をこれからどうするかという議論は本当は仕事の一環として捉えてもよい話だとも思う。全国を回ってみて、郵便局の現場は本当にやってはいけない縛りが多すぎるようにつくづく思いました。お二人の郵便局はどの辺にあるのですか。

 鈴木局長 私は北海道小樽市の中でも、最も札幌よりの銭函という地域にあります。
 いんどう議員 札幌の人もけっこうお客さまとして来局される感じですかね。余市の辺りかな。
 鈴木局長 さようです。同じ北後志地区会です。
 いんどう議員 余市といえばウイスキーだけでなく、今やワインの産地! いいですね。松下さんは熊本で? 先日の水害は大丈夫でしたか。
 松下局長 熊本の宇城市です。宇城市でも数カ所で被害があり、八代市に近い小川町は特に被害が大きかったです。
 いんどう議員 郵便局でも床上、床下浸水のみならずATMが故障したり、大変だったようです。九州は鹿児島も大変だし、局所的な豪雨は全国各地で予断を許さない状況になっていますので、その対応は急務となっています。それでは本題に入りましょうか。

 鈴木局長 まずは国会議員となられて、おそらくこれからたくさんやりたいことがあると思います。直近でやりたいことや長期展望はありますか。
 いんどう議員 政治の役割とは「地域の皆さまが住んでいる地域で安心して暮らせる」状況をつくり上げていくことにあると思っています。
 今回の選挙は国民がその時に最も身近に感じるテーマに特化してアピールした政党がSNSもあり、議席を伸ばしましたが、本来、現実には多くのさまざまなテーマを調和させながら、同時並行で解決していくのが政治の役割だと思う。
 人口減少の中での社会保障、税の在り方、経済成長、外交・安全保障等々の多岐にわたるテーマは個別に解決していく話ではなく、全てが複雑に絡み合うため、同時並行的に解決しなければならない。
 戦後80年の今、核を前提とする平和は成り立たなくなりつつある。核を使ったら世界は終わりだから、核はあっても抑止力にはならず、局地戦が起きているのが現状。台湾有事、北朝鮮等々との関係もあり、しっかりと取り組まなければならない国際社会だ。日本にとって決して対岸の火事ではないだろう。
 さまざまな課題は5年ほどで解決できるものもあれば、5年以上、10年、20年のスパンで考えなければならないものもあります。何かを先行して一つ一つ順番に取り組むのではなく、これらの全てのテーマや課題は、結局は「地域の皆さまが~」ことにつながるもの。各テーマの解決を同時並行で取り組んでいかなければならない。
 全国郵便局長会(勝又一明会長)の組織内候補の自分としては、中長期的な視野で地域の生活、暮らしを守るために郵便局を拠点にできる仕組みの構築を目指したい。
全国を回らせていただいた中、郵便局現場の方々のご苦労をひしひしと感じた。人手不足の中、人やシステムへのデジタル投資がもっともっと必要だ。
 地域のための郵便局になれる仕組みづくりとともに、議員立法に基づく郵政関連法の改正に向けて、長谷川英晴先生としっかり取り組んでいきたい。
 鈴木局長 ありがとうございました。大変に参考になりました。

 松下局長
 「リアルとデジタルの融合」と「地域のコミュニティ・ハブ」として、郵便局の在り方について、どのようなお考えをお持ちですか。
 いんどう議員 さまざまな政策課題が地域によって異なる形で山積している。例えば、高齢社会の中で、どのように働き手を増やして日本の農業を守っていけるのか。
今、農業は減反から生産増へ舵が切られようとしているが、農業に携わるのは高齢者の方が多く、デジタル技術のセミナーや講習会も行われているが、なかなか対応が難しい。
 ドローンを飛ばし、無人で肥料をまき、自動機器を使って田植えを行って刈り取りをするなどデジタルが必須。ただし、自動化といってもデジタルを誰かがどこかで動かさなければならない。
 ゲーム感覚でできる作業であれば、若い人材にも農業に入り込めるような流れをつくって、新しい息を吹き込みたい。郵便局という拠点を活用し、局内にドローンを飛ばす装置等を設置して、若手人材が郵便局で遠隔操作するイメージだ。
 既に郵便局スペースを活用したオンライン診療も動き始めている。郵便局に医療機器を置けば、わざわざ遠い病院や診療所に1時間かけてタクシーで出向かなくても定期的な診療を受けられる。これもまた、リアルな郵便局とデジタルの医療を融合させるビジネスモデル。
 社会課題を解決する時にデジタルがキーポイントになる今、デジタルとリアルをつなぐ拠点、それは地域の最後の砦の郵便局が大きな役割を担えると考えている。これまでの三事業の枠を飛び越え、人口減少の中で地域での生活のあらゆる支えになれる拠点を郵便局で担っていけるのかが問われている。
 マイナンバーカード電子証明書の更新手続き等もネットでできるが、ご高齢の方には難しい。近くの郵便局でやり方を教えてもらったり、郵便局で申し込む形が広がると良いと思う。これはデジタル化社会での補完的な役割である。
 リアルとデジタルの拠点として郵便局を活用していこうとすれば、郵便局長の方々の役割はこれまでと変わってくる。
 局長の皆さんは地域のボランティア活動や、みまもりサービス等々さまざまな地域活動に取り組まれているが、地域の方々と話し、何が必要とされているのか課題を把握し、現状とアイデアの種もあれば教えていただきたい。関係機関とも調整し、郵便局に行けば地域課題が解決できる新しい形の郵便局を創っていきたい。