インタビュー 小笠原倫明 ゆうちょ財団理事長
郵便局等を通じた個人の貯蓄活動に関する調査研究や助成、海外ボランティア活動支援、金融教育・相談等を推進している一般財団法人ゆうちょ財団(小笠原倫明理事長)。旧九州郵政局人事部長や総務事務次官等を歴任した小笠原理事長は「地域社会の維持に外国人の方々の受入れ・参画は不可欠。在留外国人支援など全国の郵便局長・社員の皆さんから情報提供をいただければ」と期待を寄せる。
一隅を照らし、ゆうちょへの信頼に
――ゆうちょ財団の成り立ちを教えていただけますか。
小笠原理事長 当財団は国営時代の4団体が統合されてできた。①郵便貯金振興会(貯蓄経済研究センター、くらしの相談センター)②国際ボランティア貯金普及協会(海外ボランティア支援)③郵貯資金研究協会(郵便貯金資金の市場運用に関する調査研究)④ポスタルサービスセンター(郵便文化・伝統の保存)の各事業を引き継いでいる。
公益的な仕事で、一言で言えば〝人助け〟。「一隅を照らす」との言葉のように、支援を必要とする方々や、社会のために役立つ活動をされている方々に手を差し延べる事業を行っている。それが「ゆうちょ」への信頼にも寄与していると思う。
――幅広い事業を展開されていますね。
小笠原理事長 金融相談事業では、障がいのある子を持つ保護者や、ひとり親世帯を対象とする相談会、特別支援学校等における金融教育講座等の開催のほか、障がいのある人等のために金融相談や金融教育等を行うNPO法人等への助成も行っている。また、海外ボランティア活動支援事業として、貧困国での学校建設や職業教育、ウクライナ避難民への飲食料品や毛布等の提供も支援してきた。
貯蓄経済研究事業では、例えば、生活に困窮している方々に対する金融サービスの在り方など身近な課題への研究活動を助成している。「ゆうちょ」の役割はそういうところにこそあると思う。また、地域格差や若者たちの財産管理など金融教育にも重点を置いている。
――郵便局と連携した取り組みや期待は。
小笠原理事長 手紙文化を振興するため、「はがきコンクール」を毎年開催し、約6000局にチラシを設置して応募勧奨いただいている。また、地域社会の維持には外国人の方々の受入れ・参画は不可欠であり、在留外国人へのボランティア活動支援や地域共生社会の実現に向けた取組など全国の郵便局長・社員の皆さんから情報提供をいただければ大変ありがたい。
――ご経歴や信条を伺えますか。
小笠原理事長 郵政省・総務省に37年間勤務する中で、宮崎県日南市で郵便局長も経験し、旧九州郵政局人事部長時代は全地区連絡会を回って談論風発、いろいろな話を伺って楽しかった。
仕事の上で割に合わないことや〝何で自分が〟ということは必ずあるが、そこから逃げる人は信用されない。「人にして信無くんば、其の可なるを知らざるなり」(論語)との思いで、信用第一に仕事に励んでいきたい。