インタビュー 全国郵便局長会 伊志嶺豊和理事(沖縄地方会会長/宮平)

2025.01.21

 郵便局は全国津々浦々にあることに存在価値があるといわれている。各地方会には過疎地域があるが、全国郵便局長会(末武晃会長)の伊志嶺豊和理事(沖縄地方会会長/宮平)は日常の交通手段や買い物支援等を意識し、将来をにらみ、人材育成にも力を注ぐ。

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 ――地方創生に向けた今後の展望をお聞かせください。
 伊志嶺理事 全特の地域貢献・地方創生専門委員会主任理事を務めており、昨年11月には日本郵便が取り扱いを開始した奈良県東部の月ヶ瀬地区の「おたがいマーケット」を視察した。冷凍・冷蔵の生鮮食品も運んでおり、この「おたがいマーケット」は、静岡市(オクシズ地域)でも始まるなど、素晴らしい施策だと思う。
 沖縄県でも、本島や離島の地公体から要望をいただいていると聞いている。離島は陸続きではないことやネットスーパーがカバーしきれていないなどの課題があるが、導入に向けた検討が進めばよいと思っている。
 日本看護協会、全国の都道府県看護協会で展開する「まちの保健室」と日本郵便の連携は、沖縄県からも注目いただき、賃料をいただいて実施しているが、さらなる拡大を図るため、協議を進めていく必要があると思っている。何より、地域の方々に喜んでいただいていることが一番だ。

 ――郵便局窓口のさらなる活用策も検討されているそうですね。
 伊志嶺理事 これまでも、お客さまの日常的なお困りごとを窓口で対応することはあったが、年金相談や終活等の高齢者支援、観光、防災に関する相談などを受けて、関係機関につなぐパイプ役を郵便局が担えないか考えている。
 地域の方々のお役に立てる郵便局にしていきたい。

 ――防災の取り組みについては。
 伊志嶺理事 毎年の台風被害もあり、郵便局離島サミットでも、防災は重要なテーマの一つだ。日本郵便とNHKとの防災・減災に関する連携協定の取り組みが進んでおり、災害時の画像・映像提供では、ニュースのスナップショットのほか、台風の模様を撮影した動画が全国放送で使われるなど、1年足らずで約25人の局長の投稿が採用された。
 昨春に台湾の地震による津波警報が発表された際には、恩納村などのリゾート地でも那覇市内でも外国人の避難誘導がスムーズに行かず、課題となっている。市町村からは郵便局の支援に対する期待の声をいただいており、危機感を共有しつつ課題解決に協力できればと考えている。

 ――中堅・若手会員の取り組みや育成は。
 伊志嶺理事 全特将来構想PTと中堅・若手代表者小委員会の発案による「狭山茶レター」から始まった施策は全国に横展開し、沖縄でも第1段は白と黒を基調とした「35コーヒーレター」、第2弾は赤と白の郵政カラーの「35ハイビスカスティレター」として販売し、大変好評だった。売り上げの3.5%はサンゴの保全活動のために寄付された。
 沖縄には「自然」、そして「平和」の思いを全国に発信していく使命があると思う。中若の皆さんの将来を考えていく上でも取り入れていきたいテーマだ。
 沖縄では本土復帰前から、局長・社員ともに離島に赴任することが多く、島に行って学ぶことはたくさんある。離島の局長も皆でつないで欠員を出していない。若い頃に社員で赴任し、局長で再び着任となると、島の方々は大歓迎。第2のふるさとになることも多い。役場職員との距離も近く、地方創生も進む。
 150年以上続いてきた郵便局ネットワークは誇らしい財産だ。200年、300年と守りゆくため、後継の人材育成に尽力していきたい。