インタビュー 日本郵政インフォメーションテクノロジー 中井克紀社長

2024.06.26

 全国津々浦々の郵便局やATMなど約2万7000カ所のネットワークを24時間365日体制で見守り、ITの力で〝グループ一体〟を支えている日本郵政インフォメーションテクノロジー(JPIT)。昨年6月に社長に就任し、日本郵便IT企画部長や東海支社長等を歴任した中井克紀社長は「地域社会の縁の下の力持ちである日本郵政グループを、JPITはまさに縁の下の力持ちとして支えていく使命がある」と意欲を燃やす。

グループの〝縁の下の力持ち〟の誇りで

 ――ご就任以来、力を入れて取り組まれてきたことは。
 中井社長 JPITがどんな仕事をしている会社か、ご存じない方が多いかもしれない。1987(昭和62)年に設立され、2011(平成23)年に日本郵政の100%子会社になり、21年からは日本郵便が3分の2、日本郵政が3分の1の株を持つ、日本郵便の子会社となった。
 今、主に提供しているのは、日本郵政グループの共用システムである「PNET」やパソコンの「JPPC」。総合人事情報システムや財務総合情報システム、それらの基盤となるクラウドサービスも提供している。
 PNETは全ての郵便局舎やATM等を合わせた約2万7000カ所のネットワークで、これを24時間体制で運用している。
 能登半島地震の時は約110カ所が同時に落ちて、監視盤の画面が警告で真っ赤に埋まった。だいぶ復旧したが、まだ10カ所ほど残っている。ネットワークが切れないように、切れてもすぐに復旧できるような運用が、私たちの大きなミッションといえる。

 ――全国の郵便局等に設置されたPC関連業務も重要ですね。
 中井社長 PCは最初に配ったら終わりではなくて、さまざまな業務がある。例えば、電子メールはグループ内だけで1日あたり270万件も流れており、そのための高性能メールサーバー40台を運用している。
 電話でのお問い合わせは一日300件ほど。PCの調子が悪いとフロントラインの仕事に差し障るし、お客さまが目の前にいらっしゃる場合もある。
 PCの状況を詳しくお伺いし、できるだけ早く修復する、または代替機を速やかに手配し、業務影響を最小限に留めるよう努力している。
 さらに今、各局にあるカラープリンターを新しいものに替えている。小さいものでも1台50㌔㌘ぐらいあるため、作業員が伺って作業をさせていただくが、改めてご協力をお願いしたい。

 ――社員の皆さまにお伝えしていることは。
 中井社長 技術革新が進む中、今までと同じままでは良いサービスとはいえない。より高い価値を提供するために、新しいテクノロジーにチャレンジしようと話している。
 社内で1回や2回失敗しても構わない。何度失敗したって最後に成功すればいい。新しいことに挑めば、自分たちのスキルになり、会社の価値も高めることになる。
 ユーザー側からすれば、私たちの存在は空気のようなもので、ネットワークはつながって当たり前。切れたら何でつながらないんだとお叱りを受けることもある。
 前島密翁の言葉のように、地域社会の「縁の下の力持ち」である日本郵政グループを、JPITはまさに縁の下の力持ちとして支えていく使命がある。それを社員の皆さんが誇りに思ってくれればありがたい。

 ――全国の郵便局の方々への思いを。
 中井社長 郵便局ほど「津々浦々」という言葉が響く存在はない。弊社は電気的につながっているだけだが、局長・社員の方々は津々浦々でお客さまと接してリアルなサービスを提供されている。
 世の中が急速に変わり、「コスパ」や「タイパ」が求められる中、郵便局の新しい価値の提供に向けて、ぜひチャレンジしていただきたい。私たちも郵便局の皆さんの活動を全力で支えていく思いだ。