住民に近い郵便局に災害備蓄を 防災安全協会 斎藤実理事長
内閣府と連携して事業を展開している防災推進協議会の構成団体である(一社)防災安全協会(斎藤実理事長)。斎藤理事長は「日本で孤立する可能性がある集落は約1万9000カ所。エリマネ局数とほぼ同じ。郵便局に災害備蓄を備え、防災拠点に」と訴える。
過疎地の防災対策を見直すべき
――能登半島の被災地への懸命な支援活動が続いています。
斎藤理事長 日本には約2000カ所の活断層があり、どこで災害が起きても不思議はない。今回の地震では、水も電気も止まり、食料の配給も情報もストップし、医療体制もままならず、完全に孤立してしまい、助かる命も助からなかった。これまで、都市部中心の災害対策に偏っていたきらいもあり、過疎地の防災対策も改めて見直すべきだ。
――被災地支援で思われることは。
斎藤理事長 今回、物資の配送でドローンが大活躍した。金沢市内から珠洲市や輪島市に飛ばし、最大で1回25㌔㌘まで積める。当協会も(一社)ドローン大学校と連携し、日本初となる防災ドローンに特化した「防災小型無人機操縦士」の育成を2月末から開講する。
ドローンを備えている自治体もあるが、有資格者がいなければ飛ばせない。局長の皆さん方は率先して防災士資格を取られているので、ぜひドローン操縦士の取得にも挑戦していただきたい。
――郵便局への期待をお願いします。
斎藤理事長 日本で孤立する可能性がある集落は約1万9000カ所。エリマネ局数とほぼ同じだ。住民にとって近く、一番なじみのある郵便局は〝防災拠点〟となり得る。
人命救助のタイムリミットは「72時間」という。勝負は3日間。コップ1杯の水と一握りの食べ物があれば助かる。全国津々浦々の郵便局に災害用の備蓄があれば、どれだけの命が助かるか。
社員や家族分だけでなく、地元住民のために備蓄倉庫を備えることを提案したい。郵便局は多くの自治体と防災協定を結んでおり、市町村の予算も可能なはずだ。