新春インタビュー 全国郵便局長会 宮島貢理事
全国郵便局長会(末武晃会長)の宮島貢理事(北海道地方会会長/士別中央通)は北海道の広大な天地で指揮を執る。2名局も多い中、郵便局の新ビジネスや公的な役目の状況を伺った。
励ましの対話で人材は陸続と育つ
宮島理事 能登半島地震で犠牲となられた方々に心よりお悔やみ申し上げる。また、被災された方々にお見舞い申し上げ、復旧・復興をお祈り申し上げたい。
――「風通しの良い組織づくり」で取り組まれていることは。
宮島理事 末武会長が率先される中、全特役員の一員として各地区会を訪ねて会員の皆さんの話に耳を傾け、丁寧に話もさせてもらっている。議論が白熱して時間が足りなくなる時もあるほどで現場から学ぶことは多い。
北海道地方会でも同様に、役員が毎年入れ代わり立ち代わり、各地区会を回っている。今までは役員や部会長以上の参加だったが、中堅・若手も加えてもらうなど、幅広に意見を聞ける体制にした。
私自身、全特で基本問題専門委員会に所属しているが、地方会の同委員会からの要望を受け、道内の「地区会交流」を実施している。ブロックで各地区10人ほどが集まり、互いの成長の場となっている。思いや課題を皆で共有し、切磋琢磨することはとても大事だ。
――全国に先駆け、北海道と全市町村の計180自治体と包括連携協定を結ばれました。
宮島理事 締結した2018(平成30)年度当時、私も地方創生担当の専門委員として奔走した。北海道は小さな町村も多いことから各首長との距離が近く、関係も良好。白老町と積丹町の行政事務を包括受託し、今後も新たな受託の準備を進めている。自治体への寄付活動も10年間継続しており、昨年1月には鈴木直道知事から感謝状が贈られた。
昨年12月からは全国2例目となる「郵便局型キオスク端末」を根室市・音更町の2局で導入した。コンビニ等がない地域で、身近な郵便局で行政サービスを受けられて便利と好評だ。さらに拡大していければと思う。
――企業等との連携施策が活発ですね。
宮島理事 網走バスの定期券・回数券の試行販売を網走市内8局で3月まで実施している。行政ではない民間バス会社との協業は全国で初めてとなる。
北海道銀行との連携では、昨年10月から道内では初めて手塩局内にATMを設置し、窓口で道銀事務手続きの受け付け・取り次ぎを行っている。他行や信金の撤退が進む中、郵便局の存在価値は高まっている。地域住民の方々をどう守っていくかが一番重要。その地域で必要とされることを実現することで、地域が元気になっていく。北海道発の終活相談サービスも、さらに力を入れていきたい。
北海道警察本部との特殊詐欺撲滅の取り組みは、昨夏からオホーツク圏5地区284局で始まった。道内の局での特殊詐欺未然阻止は2022(令和4)年度で41件。日頃からの防犯意識をさらに高め、郵便局が抑止力になっていきたい。各種の取り組みは、いずれも北海道支社(淨土英二支社長)との連携によって実現を見たもの。今後も力を合わせて共に歩んでいければと思う。
――郵便局が地域で生き残っていくには。
宮島理事 北海道は距離的な広さや、2名局が約半数を占めるなど、さまざまな課題がある。私の北上川地区会だけで福岡県と同じほどの面積がある。全国的に人口減少や過疎化が進んでいるが、その町々に郵便局があり、その先には地域の方々がいらっしゃる。これからは1局1局の存在が、ますます大切になってくる。その使命感とお客さまの笑顔を励みにして、最大限の努力をしていきたい。
人材育成では、昔なら「~しなさい」だったが、今はお互いが成長するために取り組むべきで、コミュニケーションが何より重要。語り合って意見を交わすことで知恵も湧く。「継続は力なり」。心を通わす励ましの対話を続けていく中で人材は陸続と育っていく。