インタビュー 宮下一郎衆議院議員
自民党の総合農林政策調査会長を務める宮下一郎衆議院議員は郵活連の役員も務めている。宮下議員は「過疎地の郵便局はお客さまも少ないため、単局での黒字は構造的に無理がある。人を減らす、簡易局に変える、などではユニバーサルサービス維持は果たせない」と指摘。
「郵政民営化法等の一部を改正する法律案」を通し、安心して経営ができるようにしなければならない。各党の皆さまにもご理解をいただいて、地方を支え、日本全体を元気にするために必要な法案を成立させるため皆で努力していきたい」と意欲を示す。
法改正、各党の皆さまにも理解を
――防災・減災、国土強靭化に強い意識をお持ちでいらっしゃいますね。
宮下議員 東日本大震災や能登半島地震を踏まえて国土を安全にする中期計画を作り、20兆円強の予算を確保して国土強靭化を進めている。災害に強い道路ネットワークづくりも重要だ。
郵便局は全国津々浦々に郵便や荷物を配達しているが、地元の長野県も中山間地が多く、毎年のように豪雨災害に見舞われている。治山治水、砂防事業で地域全体の安全度を高めなければ荷物も郵便も届かず、孤立するリスクが高まる。防災・減災、国土強靭化は地方創生の観点からも極めて重要。地方創生を支える基盤として郵便局の皆さんに頑張っていただきたい。
――郵便局の人と拠点が地域に役立てることとは。
宮下議員 地方創生の根幹は東京一極集中の是正を図ることだ。金融機関や農協、店舗も減る中で全国約2万4000のネットワークを持つ郵便局は地域を支える拠点としての価値が高まっている。地元の伊那市にある郵便局は局内で生活必需品まで販売してくださっていることで住民の方から「助かっている」と聞く。選挙区内の泰阜村にある温田局は全国で初めて行政事務をほぼ丸ごと受託し、地域を支えてくださっている。
伊那市では、ケーブルテレビと市とスーパーが連携して、テレビのリモコン一つで買い物ができる。午前に頼むと午後にドローンや軽自動車で拠点まで配送され、ボランティアの方々が宅配している。今後、郵便局に関わっていただくこともあり得るかもしれない。
――農業、漁業の今後の展望を。
宮下議員 農業も林業も水産業も転換期。日本の農地の4割が中山間地だが、スマート農業導入も重要だ。輸出もこれからの農業の成長につながる。日本は人口が減るが、世界の需要は拡大している。輸出に必要な物流整備にも取り組んでいる。食の流通改革も大きなテーマだ。米もJAに加え、直接販売等々、さまざまな流通ルートで販売されている。直接販売や通信販売では郵便局ネットワークも重要で、JAや漁協等の地域の特産品をカタログ販売で協力いただいている。
――郵政関連法案は継続審議となっていますが、今後の見通しは。
宮下議員 私も郵活連の一員だが、「郵政民営化法等の一部を改正する法律案」には生活の基幹的サービスを郵便局業務に追加することを盛り込んでいる。
過疎地の郵便局はお客さまも少ないため、単局での黒字は構造的に無理がある。人を減らす、簡易局に変える、などではユニバーサルサービス維持は果たせない。法律を通し、安心して経営ができるようにしなければならない。各党の皆さまにもご理解をいただいて、地方を支え、日本全体を元気にするために必要な法案を成立させるため皆で努力していきたい。