インタビュー 長谷川英晴総務大臣政務官
――長谷川総務大臣政務官の所管業務は行政管理・行政評価・統計・恩給ということですが、その中で全国展開中の「郵便局等との懇談会」の内容や成果をお教えください。
長谷川政務官 「郵便局等との懇談会」は2023(令和5)年6月に愛媛県宇和島市から始まった。23年度に全国8カ所、24年度は全国15カ所と年々開催の場が増え、広がっている。
例えば、郵便局の空きスペースを活用し、移動販売や防災備蓄等への活用の実現に向けた検討が進んだ。地域公共交通やオーバーツーリズム等々、地域課題の実情に応じ、活発な議論が行われ、議論の内容の幅も広がってきている。
全行政を良き方向へ、郵便局の声生かす
実は、総務省行政評価局の2025(令和7)年度の業務運営方針である「令和7年度行政評価等プログラム」に地域に深く根差す郵便局等から行政課題を聞き取ることで、各地域の課題を解決する取り組みを全国で実施すると明記された。
郵便局には地域のお客さまの声が届き、また、その地域で生活する郵便局長自身が一市民として感じることも多々あるはずだ。行政課題の意見を聞く機能が郵便局に期待されている。
――総務省行政相談センターが、岩手県の山林火災に対する行政相談を実施されたそうですが、相談内容で多かったものとは。
長谷川政務官 相談は、焼失した建物の滅失登記の手続きやがれき撤去、被災者生活再建支援金支給等々の手続きの仕方を教えてほしいなどの内容が多かった。相談に応じて総務省は、自治体や行政書士と連携し、ワンストップ対応している。
総務省は、地震や豪雨、台風等々の自然災害が発生した場合、被災者の方に寄り添って生活支援情報の提供や相談に応じる「特別行政相談活動」を実施している。山林火災では生活支援情報をガイドブックにまとめ、市役所や避難所に配布したが、市内8カ所の郵便局窓口にも置かせていただくことで、より住民の皆さんの手に取りやすくしている。
――総務省は名称そのものが国の総括的なイメージもあり、長谷川政務官の守備範囲も相当幅広いと思えるのですが。
長谷川政務官 2001(平成13)年の省庁再編時に郵便局等の情報通信を司る郵政省、地方自治を司る自治省、国の行政管理等を司る総務庁の機能を統合させたのが総務省。そのうち、総務庁の役目を引き継いだものが私の主な担務。
例えば、行政評価局は各府省の取り組みを評価し、アドバイスする中立、かつ重要な役目を担う。行政が政策目標を立て、予算取りして終わり、では意味をなさない。検証しなければ改善できない。
全ての行政の仕事の効果や方向性が正しいか否か、社会や経済の動きを基にデータから客観的、冷静に管轄する極めて大事なセクションといえる。ただ、これまでその役割が国民の方々にあまり知られてこなかったのは、やや残念だ。
そのほかに、「情報公開・個人情報保護審査会」「行政不服審査会」といった審議会も所管している。
少子高齢化や格差拡大等々、地域環境が急激に変化する日本において、何が問題で、何を解決しなければならないのか、外からさまざまな情報を抽出し、政策に生かすのが重要だ。
郵便局はその貴重な情報源であり、実行部隊の一つとして大きな役目を果たしている。各地での行政評価・行政管理の視察等に伴い、内側からでなく、外側から郵便局を見ることで、行政サービスを担うべき機関として郵便局への期待度がますます高くなることを痛感する。そのことは、客観的なデータからも明らかだ。